(提供:日刊不動産経済通信)ヒューリックは2日、東京・墨田区の錦糸土木事務所跡地にPPP(官民連携)で開発し、1月に竣工したオフィスビル「ヒューリック錦糸町コラボツリー」をメディアに公開した。核テナントとして宇宙ゴミの除去や人工衛星製造などを手掛けるアストロスケールの本社と工場が入居。4階に墨田区の創業支援施設が入り、若い企業らの事業運営などを後押しする。月額賃料は坪2万円弱と周辺相場よりも高めだが、8月中に最後の募集床が成約する予定という。ヒューリックは自社で手掛けるオフィスとの相互送客も視野に入れ、ラボや工場のあるオフィスの開発を増やす方針だ。
所在地は墨田区錦糸4-17-1。JR錦糸町駅徒歩8分の立地。ヒューリックがPPPで開発した8つ目の案件で施設規模はS造7階建て。区が開発地を貸し付ける公募型プロポーザルにアストロ社と共同で応募して事業者に選ばれ、21年9月に着工した。アストロ社は3カ所に分散していた同じ錦糸町の拠点を新たなビルに一本化し、増産を準備する。1、2階を人工衛星の製造工場として、2、3階をオフィスなどとして使う。6、7階にはワイヤレス給電のエイターリンク社、1階の一部に幼児教育施設が入る。4階に屋上庭園や入居者の交流スペースなどがある。区の施設は10月に稼働する。施工は五洋建設が手掛けた。
ヒューリックの前田隆也社長は2日の決算説明会で「人口が減る日本では研究開発や創業支援などの取り組みがますます重要になる」と述べ、錦糸町コラボツリーのような複数企業が入居するマルチテナント型研究施設の開発機会を増やす方向性を示した。同社は川崎市のJFEスチール製鉄所跡地でも大規模な研究施設を開発中で、27年度に街びらきを予定している。