銀座の中銀カプセルが解体工事着工、3Dデータでデジタルアーカイブ化

 07年に亡くなった建築家・黒川紀章さんのメタボリズム建築の傑作として知られる集合住宅「中銀カプセルタワービル」(東京・銀座)が12日、解体工事に着工した。解体される同ビルについて、建築物のデジタル化を進めるベンチャー企業が3次元スキャンで記録に残す「3Dデジタルアーカイブプロジェクト」を始めた。

 同建物は建物や都市の新陳代謝を提唱した黒川さんらの建築理論「メタボリズム」の代表作とされる。2棟のコンクリート建築物の周りに工場で製造した144個のユニットを配置した独創的なデザインで知られる。戸当たりの専有面積は10㎡ほどとかなりコンパクトで丸窓が取り付けられている。

 当初このユニットは25年ごとに交換する計画だったが、実現には至らなかった。同ビルは72年に完成してから50年が過ぎ、老朽化が進んでいる。昨年春に不動産会社への売却が決まり、解体工事に着手。工事は年内に終える予定。

名建築を後世へ デジタルアーカイブで保存

建築や都市のデジタル化を推進してきたgluon(グルーオン)は、同ビルを3次元データで保存する「3Dデジタルアーカイブプロジェクト」を始動した。中銀カプセルタワーの記録には、ミリ単位で正確な距離を計測できるレーザースキャンのデータと、一眼レフカメラやドローンによって撮影した2万枚以上の写真データを組み合わせ、建物全体をスキャンして、実空間の情報をまるごと3次元データ化する。

「平面的な写真や図面だけでは記録しきれない複雑な形状や立体的な構造を記録することで、建築形状を正確に把握し、デジタルアーカイブとして後世へ残していく」(gluon)としている。

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