家賃支援給付金制度(3)―Withコロナの不動産運用ビジネス―  森・濱田松本法律事務所 弁護士 佐伯優仁


家賃支援給付金制度(2)―Withコロナの不動産運用ビジネス―より続き)

給付額


(1)算定方法
 テナントが法人の場合の給付額*1は、月額の賃料(共益費・管理費を含む*2。以下同じ。)の合計額(消費税を含む)(以下「基準月額賃料」という。)を基に下記の算定方法に従って計算した額を月額給付額として、その6倍(6カ月分)の額である。基準月額賃料が225万円までは当該基準月額賃料の額に応じて給付額が高くなるが、それ以上の額の賃料を支払っていても給付額は上限額で変わらない。この場合、受領できる給付金の上限額は600万円である。 

(2)基準月額賃料
 基準月額賃料は、原則として申請日の直前1カ月以内に実際に支払った月額の賃料である。ただし、複数月分の賃料をまとめて支払っている場合には、申請日の直前の支払いを1カ月分に平均した金額とする。
 賃料がテナントの売上に連動している場合など、月ごとに変動する場合は、2020年3月に賃料として支払った金額と比較し、低い方の金額を基準月額賃料とする。
 また、2020年4月1日以降に賃料の変更があった場合は、2020年3月31日時点で有効な賃貸借契約書に記載されている1カ月分の金額と比較し、低い方の金額を基準月額賃料とする。これによって、オーナーとテナントで月額の賃料を上げて、より高額の給付額を乱用的に受け取ることを阻止している。
なお、テナントが複数の不動産を賃借して事業を行っている場合、各不動産について、原則として申請日の直前1カ月以内に実際に支払った月額の賃料を合計した額を基準月額賃料とする。
 基準月額賃料に一定の割合を乗じた額しかもらえないため、残りの割合分はあくまでテナントの自己負担となる。そのため、当事者間で賃料減額または支払い猶予の合意をするインセンティブはなくならない仕組みとなっている。

(3)地方公共団体から賃料に充てるための支援金を受け取っている場合
 申請者が、新型コロナウイルス感染症の影響などで、地方公共団体から、家賃支援給付金の申請日以降6カ月間の賃料に充てるための支援金を受け取っている場合や、これから受け取ることが決定している場合、家賃支援給付金の給付予定額と当該地方公共団体から給付される支援額の合計は、申請者の基準月額賃料の6倍が上限となる。したがって、これを超える場合、家賃支援給付金の給付予定額から超過分が減額される。


申請および支給の決定

 売上減少月の翌月から2021年1月15日までの期間申請をすることができる。2020年12月(または同年10月から12月)が売上減少月(期間)の場合、申請期間は実質的に2021年の正月休み明けから1月15日までのわずかな期間しかなく留意が必要である。
 なお、申請時に、賃貸人および管理業者(賃貸人に代わって賃料を受け取る者)がいる場合管理業者の情報を入力することが求められ、支給が決定された際に、申請者であるテナントに加えて、賃貸人または管理業者にもその旨通知される。これによって、テナントがオーナーに知らせずに給付金を受け取り、賃料支払いとは関係ない費用の支払いに充てることをできる限り阻止し、給付金の趣旨に則り賃料の支払いに充てることを確保しようとしている。
(つづく)

*1テナントが個人事業者の場合の給付額は、法人の場合の半分の水準である。
*2共益費および管理費が、賃料について規定された契約書と別の契約書に規定されている場合は、給付額算定の基礎となる基準月額賃料には含まれない。なお、共益費および管理費以外にテナントが支払う費用(水道光熱費、保険料、修繕費、更新費、礼金、保証金、看板設置料、販売促進費、テナント会費等)は原則給付額算定の基礎となる基準月額賃料には含まれないが、契約書において、賃料と区分されずに賃料と一括計上されている場合には含むことがある。

 2020/11/25 不動産経済FAX-LINE 

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