先進諸国で最も健全だったアメリカの住宅ブーム
21世紀に入ってからのアメリカの住宅ブームは、おそらく先進諸国でもっとも健全なブームだった。次のグラフでご覧のとおり、実質可処分所得が1975年以来の累計で3.5倍を超えていたのに、実質住宅価格は3倍未満にとどまっていた。
一方、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランスでは、長期金利の低下とともに金利が高ければ買えないような物件への需要が急拡大し、可処分所得の伸びをはるかに上回る住宅価格の上昇が見られていた。
他の先進諸国の住宅価格高騰には「金利がまだまだ低下するとすれば、みんながもっと高い家を買えるようになる。それなら今のうちに買っておけば、ローンを完済しないうちに転売しても売却益が取れるかもしれない」という仮需の要素が加わっていたことは間違いない。
それに比べれば、アメリカの住宅価格上昇は抑制されたものだった。しかし、2022年の年初から日本を除く先進諸国全体で金利が急騰に転じたとき、状況は劇的に変わった。
Fedの金利引き上げが住宅需要の突然死を招いた
不況下のインフレ率急上昇に直面して連邦準備制度(Fed)のジェイ・パウエル議長は、1980年代初頭にポール・ボルカー議長(当時)が行った「高金利によってインフレを封じ込める政策(ボルカーのインフレ退治)」を踏襲したようだ。
つまり「高金利で企業の生産活動にも消費行動にもブレーキがかかれば、物価上昇率も低下するはずだ」という目算だろう。しかし、この緩和から引き締めへの金融政策転換で、長期固定の住宅ローン金利に甚大な被害が出てしまった。
家賃は上がっても空室率は低下~
https://www.fudousankeizai.co.jp/publicationCatelist?cateId=4&id=21
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