シリーズ;「事故物件を歩く」② 
横浜・港南台の自殺があったマンションの1室

 シリーズ;「事故物件を歩く」①より続く 神奈川県内を中心に、事故物件の流通を手掛けるアウトレット不動産(昆佑賢(こん・ゆうけん)社長)。昆社長に案内してもらったのは、横浜市栄区・港南台のとあるマンション。JR港南台駅徒歩15分、5階建てでエレベーターのないマンションの2階だ。専有面積は70㎡ほど。間取りは一般的な「田の字」型の3LDKだ。築年は1983年。設備は築年数相応に古びてはいるが、床の痛みは感じられない。残置物は撤去され空間はすっきりとしている。ただし人が長年住んでいた形跡はある。この物件が今回の事故物件である。「所有者の妻が自殺した物件です」(昆社長)― 

横浜・港南台

 少しだけ臭いが残っている。亡骸の清掃が行き届いていなかったのであろうか?残置物の撤去は行ったが特殊清掃はまだ行っていないのか。あるいは特殊清掃は行ったが、臭いが戻ってきてしまったのか。改めて昆社長に話を聞いてみると、自殺があったのは最近のことではなく、15年以上も前のことだという。

 臭いの原因は直前まで住んでいた人間の体臭と、タバコの臭いが合わさって長年蓄積されてきた臭いだった。自殺があった後、所有者はこの物件を賃貸に出し、長年賃借人が住んでいた。アウトレット不動産がこの物件を購入したのは、5年前。賃借人付きで購入した。当時の賃料について尋ねると「当社が購入したときは6万5000円でした。この周辺の賃貸相場から考えたら破格の家賃ですよ。その後少し改定しましたが」(昆社長)。その後賃借人が退去したタイミングで、この部屋をリノベーションし売却することにした。昆社長にはどのようなリノベーションを行い、こうした「再生物件」をどのような人が求めているのか。ポイントについて聞いた。

ベランダには塩が盛られていた(港南台のマンション)

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 シリーズ第2弾は事故物件の流通の現場について。どのような物件が事故物件となり、それがどのように加工されてどのような人が購入しているのか。アウトレット不動産の昆佑賢社長(写真)に事故物件が発生する理由、事故物件化しにくい不動産とはどのようなものか、そして事故物件はどのように「加工」すれば流通しやすくなるのか、エンドユーザーはどういう人なのかについて聞いた。昆社長は一般社団法人・建築医学協会(松永修岳理事長)の理事・幹事長を務めている。

アウトレット不動産・昆社長

-事故物件がこれまで以上に注目されている


昆氏 事故物件化する不動産には共通点がある。芸能人の相次ぐ自殺にもみてとれるが、事故物件も連鎖しやすい。それを防ぐには、普通の人が住める物件にリフォームすることで悪い要因を取り払い、事故物件が持つネガティブな波動をいい波動に変えていくことが大事。人が穏やかに暮らせる環境作りがどういうものなのか考えて、事故物件を普通の人でも住めるような、良質な物件に変えていくことが必要だ。

-アウトレット不動産とは。設立の経緯について


昆氏 2011年に会社を設立した。建築医学協会が2008年春に開いた講演会に参加したことがきっかけ。「病は家から」というテーマだった。建築医学とは、人間が五感で感じたものが脳にインプットされ、心に影響を与える。気分がいいとか悪いとか、そういう心情は住まいの環境が引き出す。いい心だけを引き出そうというのが建築医学のあり方だ。明るく綺麗で暖かい家もあれば、そうではない寒い家もある。心がネガティブになると鬱になって病気や自殺に繋がり最終的には事故物件になる。なるべくネガティブにならない環境づくりが大事だ。

-「事故物件化」は予防できると


昆氏 人間関係も付き合う人次第で、いい人生にもなれば悪い人生にもなる。全ては環境だ。家も同じだ。例えば悪いケース。カビの発生は人間の健康を害する。カビは様々な病気の原因となる。発がん性のあるカビを吸うと癌になる。高層建築物になればなるほど低層、特に1階は乾きにくくなり、湿度が籠りやすい。だからマンションの1階は気をつけた方がいい。ヒートショックは風呂場が多い。床がタイルで浴槽はステンレスやポリエステル、寒い脱衣場となるとヒートショックの確率が高くなる。旧い家だとしても風呂場がリフォームされていれば、亡くなる人は減ると思う。仮に倒れても発見が早ければ病院へ運ばれるが、現代のように一人暮らしが多いと、発見が遅れて死んでしまう。だから「病は家から」は的を射ていると思う。

シリーズ;「事故物件を歩く」③に続く

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