東京都、マンション管理・再生促進計画を改定 登録制度、まちづくり再生制度の見直し検討
マンションタイムズ

 東京都は、マンションに関する施策目標を示す「東京マンション管理・再生促進計画」を改定する。具体的な施策として、優良マンション登録表示制度のあり方を含めた見直しを盛り込んだほか、マンション再生まちづくり制度の見直しなどにより老朽化したマンションの建替えへの支援強化も打ち出した。

 同計画は、都がマンション管理条例を制定したのを受け、2020年から10年間のマンションに関する施策や目標を示したもの。マンション管理適正化法・マンション建替円滑化法の改正や新型コロナウイルスによる生活様式の変化、国や都の施策などを踏まえ、具体的な施策や目標指標を見直した。

 優良マンション登録表示制度については、改正マンション管理適正化法で創設する管理計画認定制度や、マンション関係団体による管理に関する評価制度の普及状況、管理組合や分譲事業者との意見交換を踏まえ、あり方も含めて見直すと明文化した。管理・再生促進計画に示した年次計画では、2022年度にかけて制度のあり方を検証し、その後は「良好な管理が評価される市場環境の整備」を行うとしている。

同制度は、共用部分のハード的な性能と管理の両面について一定の水準があるマンションを「優良マンション」として認定・登録し、公表するもので、昨年末までに146件が登録を受けた。管理状況や建物性能の評価による住宅流通の促進や、登録後の定期的な審査により管理組合の管理に対する意識向上などを狙いとしている。

 マンション再生まちづくり制度については「多様な主体によるまちづくりの取組を評価して老朽マンションの建替えを支援するよう制度の見直しを行い、一層の活用を促す仕組みを検討する」と打ち出した。同制度は、まちづくりと連動してマンションの建替えや周辺との共同化を進めようとする指定エリア内で、マンションが建替え等の合意形成を進める際の費用などを補助している。これまでに4地区が指定されている。エリアの指定には、市区町村が対象エリアのまちづくりの目標や方向性などを示したまちづくり計画を作成するなどの要件があり、見直しにあたってはまちづくりの評価方法などをテーマにする。また、指定エリア内の高経年マンションの建替えで、環境性能に優れた計画となるような支援策も検討する。

 年次計画では、2022年度までに支援内容の検証・改正を経て制度を拡充。2023年度から26年度にかけては、制度活用の拡大に向けた働きかけや、まちづくりと連携した建替えの促進に取り組む。現行計画で適用地区の拡大としていた目標から大きく変更した。

認定取得をアドバイザーで支援、30年度までに届出100%

 このほか、管理計画認定制度に基づく認定マンションの増加に向け、認定を希望する管理組合に対してはアドバイザー派遣により支援する。制度の普及啓発や、アドバイザー派遣の活用促進策の検討、区市が認定制度を円滑に実施するための技術的支援などにも取り組む。

 外部専門家を活用した管理方式については導入しやすくなるような環境整備を行うとし、導入に適したマンションの特性を調査するとしたほか、適正な監督の確保、人材の育成、実際のマンションへの導入支援とその検証をもとにした留意事項の公開などを実施する。

 団地再生についても新たな記載を追加した。一団地の住宅施設に指定された団地型マンションが建替えを検討する場合に、指定を廃止し地区計画の決定などを行う市区町村を支援するとした。またマンション再生まちづくり制度の見直しに当たり、地区計画を策定した団地で具体的な建替え計画の検討を促進できるようにするとしたほか、敷地分割制度の活用など団地の実情に応じた多様な手法を採用しても制度による支援が受けられるように見直すと記載している。

 また、これまで6項目の大目標を掲げ目標ごとに施策を提示していたところ、新たに「マンションの環境性能の向上」を7つ目の目標として設定。長期修繕計画に省エネ改修や再生エネルギーの活用を位置付けるよう専門家による支援を実施するとしたほか、助成制度の申請手続きの簡素化など、環境性能の向上に取り組む管理組合を支援する方針を打ち出した。

政策目標では、都がマンション管理条例に基づき行っている管理状況届出制度について、届出が必要なマンションの届出の割合を2030年度までに100%とする目標が新たに盛り込まれた。

 計画改定に合わせ、マンション管理適正化推進計画案を新たに作成し盛り込んだ。都内町村部のマンション施策となり、計画期間は2022年度から2026年度までの5年間。計画は「東京マンション管理・再生促進計画」の中に位置づけ、促進計画で示した施策を踏まえて取り組む。

 区域内にあるマンションの管理状況を把握する上では、登記などに基づき所在地や棟数などに関する情報を収集するとしたほか、マンション管理条例で規定した管理状況届出制度を活用し管理状況の実態把握を実施する。

 助言・指導等を行う場合の判断基準や、管理計画認定制度の認定基準は、国が示した要件と同じとする。

2022/3/5 月刊マンションタイムズ

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