オフィスビル総合研究所(今関豊和代表)は4日、東京や大阪など大都市圏における3月末時点のオフィス需給動向を公表した。東京都心5区の空室率は前月比0・15㌽増の4・54%、潜在空室率は0・04㌽増の7・76%とやや上昇した。都心の空室率は昨秋から4%台前半にとどまっていたが、コロナ禍以降で初めて4・5%を超えた。大阪の空室率も0・17㌽増の3・89%と上昇。ただ名古屋と福岡は横ばい、札幌と仙台は下降基調になるなど都市で需給に差が出た。
都心では特に港区や中央区などで空室が増えているが、同時にオフィス床の新規供給も減っているせいで需給バランスは小康状態だ。ただ空室率、潜在空室率が揃って上昇に転じたことから、再び需給緩和の局面になる可能性もあると分析している。
区ごとの空室率は中央、港、新宿の3区が上昇し、千代田区も微増になるなど、コロナ禍でテナントの需要が振るわない状況が数字に出た。一方、渋谷区は0・17㌽減の3・47%と5区で唯一、空室率が下がった。一昨年以降に多くのIT企業らが渋谷を離れたが、反動増で需要が急速に回復してきたようだ。
大阪の需給も緩和基調で空室率は4%に近付く。潜在空室率は5・58%と6カ月連続で5%台。名古屋と福岡の空室率はそれぞれ4・43%、3・5%。福岡の空室率は1年ほど3・5%前後が続いている。
同社の予測では、東京都心では企業らの拠点縮小などが続くものの、空室率は23年第1四半期(1Q)に5・0%で天井を打ち、24年4Qには3・2%まで下がる。大阪と名古屋には東京ほどの大きな需要減退は生じず、それぞれ4%台、5%台が続くと予想する。