不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は22日の理事会後の記者懇談会で、今週から与党内で議論が本格化する来年度の税制改正に言及し、住宅ローン減税は控除率が引き下げられたとしても、控除限度額や控除期間は確保し「総額は何としても確保していきたい」と強調した。土地の固定資産税については、税額上昇分を半減させる激変緩和措置を求め「粘り強く交渉していく」とした。
住宅ローン減税を巡っては、政府内に実際の支払利息額を控除上限額とする「キャップ制」を目指す動きがある。菰田理事長は「足元の金利水準は非常に低いが、住宅ローン減税の適用期間は長く、8割程度が変動金利で借りている」と指摘。「金利の先高観がある中でリスクを取って借り入れしていることを見据えると、足元の状況だけを見てすぐさま控除率を下げることは協会としては理解しづらい」と述べ、キャップ制に警戒感を示した。
加えて、先進的な高い環境性能がある住宅の供給促進と取得支援に向けて「前例にとらわれず大胆な税制上の措置」も要望。ZEHマンションは一般住宅よりもコストがかかるため、初期負担を軽減する観点からローン減税とは別に、上乗せ措置を求めている。建物価格の一定割合を所得税額から控除するイメージだ。
特例として昨年度の税額が据え置かれている固定資産税に関しては、協会のまとめによると、現行のままだと来年度は商業地のうち約6割の地点で税負担が増加し、約2割の地点で10%以上の増税となる見通し。菰田理事長は「収入が下がっているのに地価が上がってしまうという状況が生まれてしまうため、激変緩和措置が必要」と話した。(日刊不動産経済通信)
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