【2021年基準地価】③特集・地価動向 東京圏の物流不動産 道路延伸やEC化で内陸での開発が増加
アルファリンク流山(GLP HP)

 ―需給はひっ迫基調、金利動向など懸念も  

 物流不動産市場の勢いが落ちない。昨年来のコロナ禍で輸出入の動きは鈍ったが、年率10%前後で成長するEコマース(EC)や3PLなどが牽引役となり、東京・大阪など大都市圏を中心に着工床面積が増えている。都市圏で高速道路網の整備が進み、未利用だった内陸の田畑や山林なども開発適地に変わっている。デベロッパーや施設利用者らの目線が広がり、郊外工業地の地価も上昇基調だ。9月に入り物流の投資市場も復調し、Jリートなどが買いの姿勢を強めている。

  物流市場が過熱する背景にはECの急成長がある。特にBtoC部門が良く、経済産業省の調べではECにおける同部門の規模は13年から20年にかけて1・7倍になった。首都圏ではこの10年に横浜区間を除く圏央道と外環道、大阪圏では新名神や第二京阪などが開通し、サプライチェーンの合理化を急ぐ物流事業者らが拠点の統合・分散に乗り出す好機になった。

 「首都圏の物流不動産は数年前から供給過剰だと言われてきたが、需要が強く賃料は今も上がっている」-。ジョーンズラングラサール(JLL)の谷口学チーフアナリストはそう指摘する。同社がまとめた今年第2四半期(2Q、4~6月)の需給調査結果では、東京圏の賃貸物流施設の空室率は前期比0・1㌽減の0・9%と19年から1%を下回り続け、平均賃料も前期比0・2%増の4403円と高位を保つ。一五不動産情報サービスの調査では5~7月に東京圏の空室率は前期(2~4月)比0・8㌽増の1・3%と上昇し、「コロナ禍の特需が一巡した」(同社)雰囲気もあるが、募集賃料は4400円台と下がってはいない。首都圏では22、23年と大量の床が市場に出回る予定だが、来年の分もすでに6割程度が内定した模様で、当面は強い需要が続きそうだ。  

 JLLの調べでは首都圏の施設ストックは10年時点で湾岸が179万㎡、内陸が140万㎡だったが、21年2Qには湾岸510万㎡に対し内陸1014万㎡と逆転した。エリア別の賃料は7月時点で都内湾岸が約7400円と突出して高く、内陸の圏央道付近は3700円と同じ首都圏でも2倍近い差がある。

 今年1~3月に竣工した施設の立地は千葉の流山や八千代、船橋、埼玉の桶川、上尾、東京の青梅、神奈川の茅ヶ崎、相模原などと多様だが内陸での開発が目立つ。千葉の四街道や埼玉の嵐山にマルチテナント型施設(LMT)を建てる計画もある。プロロジス日本法人の山田御酒社長兼CEOは「EC化で消費地に近い内陸の施設が人気で、作るとすぐ埋まる」と話す。

  千葉・流山に9月中旬、日本GLPの大型物流団地「アルファリンク」の一部が竣工した。そこを借りた物流事業の山九は当初、湾岸地域で物件を探したが、賃料や使い勝手などを勘案し最終的に流山に決めたという。GLPの帖佐義之社長は「インフラが整って車や人の流れが変わり、物流適地の考え方も変化した」と分析し、「物流の拠点戦略は商流によって常に変わる。しかも正解は一つではない」と強調する。(日刊不動産経済通信

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