ラサール不動産投資顧問は、世界主要国の不動産投資市況を分析した報告書をまとめた。新型コロナの収束が比較的早いアジア太平洋(APAC)圏のうち、昨年の対外輸出が前年比4%増と経済回復が著しい中国や、多くの投資家らに安定性が好感される日本、韓国などの市場を有望視。世界で商業施設の売買事例が減る一方、特に日中両国で物流施設と賃貸住宅への投資需要が拡大しつつあると指摘している。
ラサールが年に2回公表している報告書「グローバル不動産投資戦略」の最新版によると、APACでは域内の活発な交易や各国の積極的な財政出動などが市況回復を牽引していると分析。産業がV字回復した中国を筆頭に、日本、韓国、シンガポール、オーストラリア、香港の順に景気回復が実現すると予想している。順位付けの根拠として、比較的大きな内需があり、外的要因に左右されにくいことなどを挙げている。
アセット種別では物流施設と賃貸マンションの人気が高い。賃貸マンションは安定賃料が期待できる日本と、販売価格が高騰を続ける中国で投資熱がさらに高まると展望している。中国や日本、韓国ではオフィスでの対面が重視される上、住宅も比較的狭いことからリモートワークは長期化しないとも予想している。
同社の親会社であるJLLの調査では、20年の日本国内における不動産投資額は前年比4%減の4兆5714億円とやや減少。ただ内訳をみると日本から海外への投資額が58%減の1162億円と大きく減った一方、海外から日本への投資は28%増の1兆5548億円と拡大した。コロナ禍で相対的に日本の不動産が投資家らに高く評価される傾向が強まっている。(日刊不動産経済通信)
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