住宅情報提供サイトに光熱費の表示を (有)studio harappa 代表 村島正彦(中)
(有)studio harappa 代表 村島正彦

住宅情報提供サイトに光熱費の表示を (有)studio harappa 代表 村島正彦(上)より続く

日本では「光熱費」表示を2022年度から実施

 日本は、建築業界で住宅の省エネ性能向上を法律で規制を設けてCO2削減を進めている。改正建築物省エネ法によって、2019年11月からハウスメーカーや大規模住宅事業者には「平成28年基準」の省エネ性能が義務付けられた。また、2021年4月からは、小規模住宅で建築士が建て主に省エネ基準への適否などを「説明」することが義務付けされた。このほか、意欲的な事業者は、省エネ性能をさらに高めた太陽光発電等の創エネを併せて、ZEH(ネットゼロエネルギーハウス)などに取り組んでいる。ただし、このような住宅の省エネ性能について、住宅を購入・賃借する際の意識付けはあまりなされていない。消費者の意識も、相変わらず「立地」や「広さ」「価格」に重きを置いており、「省エネ性能」が選択基準となっているとは言いがたい。

図1 光熱費換算値の算出方法

 住宅消費者ひいては国民の、住宅の省エネ性能に関する意識を高めるため、2022年度から住宅情報提供サイト等における光熱費表示を行う予定である。冷蔵庫やエアコンなどでは省エネ目標達成率や電気代を、クルマは燃費性能を表示しているが、同様の省エネ性能を住宅選びでも明示しようという試みだ。
 国土交通省は2021年度に「住宅の省エネ性能の光熱費表示検討委員会」を設置して、本年3月まで3回、検討委員会を行った。一般の住宅消費者に対して、住宅情報提供サイトに省エネ性能を明示することで、住宅選択時に意識を持ち、ひいては省エネ性能の優れた住宅を望むことが狙いだ。第3回委員会の「とりまとめ案」では、住宅の省エネ性能制度「BELSに倣う多段階指標」 と併せて「目安光熱費」を広告に表示することとされた。光熱費という具体的な経済的メリットを前面に押し出すのが特徴だ。
 「とりまとめ案」から、広告表示の具体的な中身をみてみる。
 表示する「目安光熱費」は、建築研究所が開発した「ウェブプログラム」と呼ばれる設計補助ツールで算出する(図1)。電気・ガス・灯油等の燃料単価は、資源エネルギー庁の小売事業者表示判断基準と整合をとるものとする。また太陽光発電などの「創エネ」分については、設備機器による消費電力量から創エネ分(発電量)を差し引いて計算する。売電収入や売電量は光熱費と一緒には表記せず、個別のPRページや備考欄に掲載するなど、計算・表示上の留意点なども示された。また、これは、あくまで計算上求められる「目安光熱費」で実際の光熱費と間違わないよう注意を促す記述もサイト上に記すこととした。

図2 住宅情報提供サイト表示例。赤枠内に★による段階評価と年額の目安光熱費を表示(国交省資料から)

 国交省では、この「とりまとめ案」に基づき、今年9月までに、現在はBELSなどの表示について定めた「建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指針」の告示を改定する。また、住宅建築や不動産業界での啓発活動、各種システム(REINS等)改修、住宅情報提供サイト側の改修を踏まえ、新築マンション、新築戸建での光熱費表示は2022年4~6月、新築賃貸住宅には同年10~12月に導入したい考えだ。まずは新築を中心に光熱費表示を行い、既存住宅(中古住宅や建築済みの賃貸住宅)の表示については、算出方法や情報伝達などが難しいため今後の検討課題としている。

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2021/5/12 不動産経済Focus & Research

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