(提供:日刊不動産経済通信)開業から50年の時を経て老朽化した東京・中野駅北口の「中野サンプラザ」が2日に閉館した。近接する区役所などと一体的に建て替える大規模複合再開発事業が本格的に動き出す。野村不動産を代表とする企業グループが高さ約262mの超高層棟や最大7000人収容の大ホール、ライフスタイル型ホテルなどを整備。24年度に既存解体、25年度に本体工事に着手し、28年度の竣工を目指す。2日夜に現地で行われた閉館式典で事業者代表として挨拶した野村不動産の松尾大作社長は、「施設に愛着を持つ多くの人たちの気持ちに十分応えられるよう事業を進める」と強調した。
野村不動産と東急不動産、住友商事、ヒューリック、JR東日本が21年5月に中野区と事業の基本協定を締結。協力事業者として清水建設や日本郵政不動産、日本設計らが加わる。2ha超の敷地に宿泊や娯楽、居住、交流などの機能を持つ総延床面積約29・8万㎡の施設を建てる。完成後は「NAKANOサンプラザシティ(仮称)」として中野の新たな象徴を目指す。野村不動産が大規模なホールの開発を手掛けるのは今回が初めてで、同社は「次の受注に向けた大きな実績になる」としている。総事業費は約1810億円。
施行予定区域の面積は約2・34ha。駅に近い敷地南側にオフィス、住居、商業施設が入る高層棟、その北側にホテルやホールなどの低層棟を設ける。ホテルやマンションなどのブランドは未定。広場や歩行者空間などで駅や新区役所との回遊性を高め、事業者らがエリアマネジメントの組織も作る。閉幕式典には酒井直人・中野区長や中野サンプラザの金野晃会長、佐藤章同社社長らが出席。金野会長は「新たに生まれ変わる施設も多くの人に愛されるよう期待する」と語った。