(提供:日刊不動産経済通信)三菱UFJ信託銀行は、26年末までを対象とする東京のオフィス市場の予測レポートをまとめた。企業の設備投資の増加や労働者の雇用情勢から賃料負担力が改善することを背景に、新規の賃料は23年に底を打ち、コロナ禍前の水準に向けて緩やかに回復する見通しを示した。空室率は5~6%台の範囲で、コロナ前の水準には戻らず現在から若干の低下または横ばいに推移すると予測している。中期的には労働人口の減少による都心のオフィス需要の一服感も想定している。
 レポートでは、短期的に景況感の改善で需要回復を見通す一方、中期的には労働力人口の減少で、都心のオフィス需要も増加しにくくなる環境を見込んでいる。具体的には、企業の設備投資が徐々に増加して23年から24年にかけてオフィス需要を呼び込み、賃料下落による割安感で22年と23年のオフィス需要を押し上げると予測している。一方で、雇用環境として、25年以降に高齢化の進行でオフィス需要の下押し圧力に働くほか、テレワーク活用によるオフィス面積縮小の影響を一定程度、マイナス要素として織り込む。
 23年と25年の都心オフィス床の新規大量供給については、自社ビルや都心周辺部からの移転需要を喚起すると見込む。ただし、22~26年の5カ年の年平均では約16万坪の供給で、過去10年や過去20年の年平均を若干下回る供給ペースとみられる。過去事例に照らし合わせると、空室率の大きな上昇や、賃料の強い下落圧力にはなりにくいと予測。そのため、空室率の水準は比較的高い5~6%台が続き、一方で企業業績の改善から23年以降の賃料の押し上げ寄与を見通している。

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