LIFULL(ライフル)とセキュリタイズ・ジャパンは、不動産特定共同事業向けのセキュリティ・トークン・オファリング(STO)のプラットフォームを立ち上げ、20日に初弾案件の利用を発表した。エンジョイワークスが古民家再生ファンドでSTOを活用し、資金調達と投資家間の二次流通の利便性向上を図る。一般投資家を対象にした不動産STOは国内で初とみられる。
STOは、証券をブロックチェーン上で電子化し、投資家からの出資に対してSTを発行して流通させるもの。不特事業ではプライマリーでの資金調達が主で、出資持分の投資家間の譲渡などセカンダリー取引に関しては手続きが複雑で技術的な課題もあり、想定されていなかった。ST発行により、事業者や投資家はSTの保有者や保有規模などを常時プラットフォーム上で確認でき、持分譲渡の利便性や安全性が高まる。
ST譲渡の際には、譲渡先が対価として暗号資産(仮想通貨)を渡す。プラットフォームの利用は、ST発行体となる不特事業の1号事業者を想定。利用料は発行体が負担する。不特事業では二次流通が難しかったため、長期運用の商品は投資家にとってリスクが高く、これまでは6カ月~2年など比較的短期間の運用のものが多かった。二次流通の利便性向上により、事業者コストも投資家リスクも少ない中長期間の安定運用ができる投資商品の組成に期待できる。
利用初弾はエンジョイワークスの「葉山の古民家宿づくりファンド」。神奈川県葉山町の古民家を宿泊施設などに用途変更して再生する。昨年11月に募集を始めた。募集期間は12月15日まで。1口5万円からで目標額は1500万円。ファンド組成後に投資家へSTを発行する。運用期間は4年3カ月。
2020/10/21 日刊不動産経済通信
一連のSTOのトークン化や譲渡の流れ、ライフルとの協働の中身は「2020不動産経済フォーラム」にて、Securitize(セキュリタイズ・ジャパン)のテックコンサルタントである森田悟史 氏が講演(Cコース)を行う。