CBREは東京や大阪など全国主要都市における第3四半期(3Q)のオフィス需給動向をまとめた。東京都心にあるA・B両グレード(級)ビルの空室率は前期比0・1㌽増の0・9%と、10年ぶりに2期連続で上昇した。他都市でも大阪が0・4㌽増の1・2%、名古屋が0・4㌽増の1・8%、福岡が0・6㌽増の1・2%などと空室が増加傾向だ。テレワークなどの導入で拠点配置を見直す企業が増えており、小規模なビルを中心に部分解約などの動きが出始めている。
コロナ下で企業がオフィスの増床や新設を先送りしたり、在宅勤務の導入に伴い一部の床を返却したりする傾向が複数の大都市にみられる。三大都市圏のほか、札幌、仙台、横浜、京都、神戸、広島、福岡の7都市の空室率が軒並み前期実績をやや上回った。
東京都心では拠点の集約・統合に伴う移転や、行政のコロナ対策給付金事業など短期の賃貸借需要が生じている。ただ多くの企業が職員の出社比率を抑えており、「出店・増床需要も100~200坪以下とコロナ前に比べ小型化している」(CBRE)という。
都心ではA・B級ビルの空室率が微増したほか、賃料も0・9%減の2万3270円とやや下がった。B級ビルの賃料は1・3%減と下落幅が大きい一方で、空室率は0・1㌽減の0・7%と低位が続いている。中小企業の利用が多い小規模なビルほど、テナントのコスト削減需要に応えようと賃料を下げている可能性がある。同社はそうした動きが今後、大規模なビルにも波及すると読む。向こう1年のA級ビルの賃料は、東京は3%減、大阪は0・2%減、名古屋は0・5%減とそれぞれ予想している。
2020/10/27 日刊不動産経済通信