(提供 日刊不動産経済通信)タカラレーベンがオフィスの開発ペースを上げている。傘下のタカラレーベン不動産投資法人が上場した18年に投資事業部を作り、リートなどへの売却に特化したオフィス・ブランドの「L.Biz(エルビズ)」を立ち上げた。2年前に竣工した水道橋の初弾施設を他社に売ったのを始め、お茶の水や八丁堀、日本橋など東京駅周辺で開発を重ねている。
改修案件を除くと自社開発の実績は8棟になり、銀座でも着工を控えている。自社開発で売却したのは現時点で水道橋の1棟のみだが買いの引き合いが強いため、用地仕入れを現行の年間300億円から500億~600億円に倍増させる考えだ。
同社は1棟当たり数十億円規模の中小型オフィスを主に東京駅周辺で建設している。投資開発事業本部の吉村典彦・投資開発事業部長は「コロナ禍の約2年でオフィスのキャップレートが1、2割ほど上がり、同じ割合で売却益も増えた」と話す。コロナ禍で都心のAグレードビルは空室率が上がりつつあるが、同社が開発する中小規模のオフィスは不動産業以外の企業などから購入の問い合わせが多いという。名古屋や盛岡、つくばなどでは中古ビルの改修も手掛けたが、いずれも地元企業らに売却した。
タカラレーベン不動産投資法人は地方の古いビルを手放す方向で、レーベンは都心での開発に重心を置く。開発地の比率は都心3区で5割を保つ方針。都内には企業らが事業所を縮小する動きがあり「小規模なオフィスは(内装や設備などを)工夫しないと立地に見合う賃料を設定できない」(吉村部長)との悩みも。1日に建築と商品企画の担当部門を独立させ、立地以外にテナントが求める要素を突き詰めていく。