三井不、施工者らにGHG算定を義務化 ―不動産業で初、供給網全体で脱炭素化

(提供:日刊不動産経済通信)三井不動産は街づくりにおける脱炭素化の取り組みを拡充する。自社グループの温室効果ガス(GHG)排出量の65%を占めるとされる建設段階の排出を削るため、不動産協会が作った工種・資材ごとに排出量を可視化する「建設時GHG排出量算定マニュアル」の利用を10月以降に着工する原則すべての物件で義務化する。同時に住宅やビルなどにグリーン電力を広げたり木材を活用したビルを増やしたりし、サプライチェーン全体で環境負荷を低減。川上・川下を巻き込んだ取り組みで、30年度までにGHG排出量削減率を19年度比で40%に高めるとの目標達成に弾みを付ける。

植田俊社長が17日に都内で会見し、環境対応の新たな施策を表明した。自社グループ全体のGHG排出量の90%を「スコープ3」と位置付けられる他者が出しているといい、そのうち65%を占める施工時の排出を抑えるため、工事を発注するゼネコンらに排出量算定マニュアルを普及させるのが最重要課題だという。罰則規定はないが「受発注者に共通の物差し」(植田社長)となるよう利用を義務づけ、GHG排出総量を業界ぐるみで段階的に減らしていく。施工者に同マニュアルの使用を義務づけるのは不動産会社で初めて。業界最大手が始めたことで追随する企業も出そうだ。

三井不動産はこうした脱炭素化の取り組みに対し30年度までに総額1000億円を振り向ける方針だ。ほかに環境関連を含む技術革新への投資枠として700億円も確保してある。会見では、東京など三大都市圏で自社保有の180施設にグリーン電力を広げる方針や、風力・地熱など未進出の発電事業を検討していることも説明した。洋上風力発電は2件を環境影響評価にかけているという。

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