コロナ禍でも販売好調を維持する ―契約進む分譲マンションの共通項(上)
OLYMPUS DIGITAL CAMERA


 コロナの影響で、分譲マンションは一時的に販売ストップに追い込まれた。価格のさらなる上昇で、首都圏マンション市場が厳しさを増していく中、コロナがさらに追い打ちをかけた。ただ、こうした状況下でも、販売ペースを落とさずに契約を順調に積み上げている物件がある。販売好調の要因は何なのか。具体的に物件を見ながら検証する。


生活利便性に加え将来の資産価値上昇も期待
スケールメリット生かした共用施設に評価も


 埼玉県川口市。埼玉高速鉄道線鳩ケ谷駅から徒歩6分の場所に計画する「ウィルローズ鳩ケ谷エデュオ」(59戸)は、昨年12月から販売を開始し、3月までの4カ月で7割まで進捗した。好調だったポイントは、駅周辺で近年供給が少なく、需給バランスが抜群に良かった。また東京メトロ南北線が乗り入れ、都心直結のアクセス力の高さが1次取得層に受け入れられ、購入者は地元の埼玉県以外の23区内等の中広域からも半分を占めている。同物件は敷地に隣接してスーパーマーケットの西友があり、駅近と高い生活利便性の立地に対する評価が高い。また専有面積を60㎡台に絞ることで、グロス価格を3600万~3700万円台を中心に設定。一方、面積を絞りながらも角住戸率が50%、収納重視のプランに高い評価が集まった。
 鳩ケ谷、南鳩ケ谷駅での近年の供給を見ると、分譲単価は150万円程度で割安なものの、駅徒歩10分超の駅遠立地物件が多い。しかも商業施設が充実する鳩ケ谷駅では2013年以降、1物件した供給されていなかった。都心に30分台で通勤可能、隣駅の川口元郷駅と比べて単価上昇も抑えられており、面積を圧縮することで3000万円台を望む一時取得者向けへの供給を可能とした。


 相模原市の「ミオカステーロ橋本」(42戸)は、地元の狭域集客、しかも年収900万~1000万円台のアッパー層に刺さった。3月から販売を開始し、1カ月で75%まで進捗した。集客も150件、歩留まりは20%を超えた。好調の要因はやはりエリアの需給バランス。駅近に競合物件が全くなく、近年駅10分圏の供給が全くない。駅6分の駅近立地に加え、周辺は商業集積度も高い。京王線で新宿に直通できるほか、2027年にリニア新幹線の新駅が開業する予定で、将来の資産価値上昇への期待が高い。物件は全戸南向き、角住戸率66%、ワイドスパンを採用し、眺望と通風採光に優れている。グロスを圧縮し、3000万円台後半~5000万円台前半を中心にバリエーションを持たせた。
 同物件が立地する相模原~橋本エリアは、供給は相模原に集中しており、橋本駅では徒歩15分以上の駅遠立地のみ。好調要因は需給バランスの良さと言えそうだが、分譲単価は既存物件より40%程度アップしたが、商品としての希少性が購入者に支持された。

コロナ禍でも販売好調を維持する ―契約進む分譲マンションの共通項(下)へ続く

2020/9/15 不動産経済ファンドレビュー

コメントをどうぞ
最新情報はTwitterにて!

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめ記事