マンション管理の未来56 トップインタビュー ナイスコミュニティー社長 新井貴己氏(下)
ナイスコミュニティー新井社長(月刊マンションタイムズ)

マンション管理の未来56 トップインタビュー ナイスコミュニティー社長 新井貴己氏(上)より続く

長期修繕計画を基軸に
        専門性を通じたサポート

――国のマンション管理計画認定制度やマンション管理業協会のマンション管理適正評価制度が今年4月からスタートする。どう取り組むか。
 新井氏 管理計画認定制度と管理適正評価制度では、長期修繕計画が基軸になっていく。当社が蓄積したノウハウを活かすとともに、管理組合の要望も取り入れた長期修繕計画の作成・提示を行っていきたい。管理のプロとして管理に役立つ専門性を通じて管理組合の主体的な取組に協力し、サポートしていく。
 ヨーロッパなど海外では住宅に関する認証制度があり、断熱を含めた性能を評価する仕組みが整っている。評価項目に対して各マンションで適切な対処をすることで、住まいの資産価値を高める努力をしている。こうした仕組みは日本でも必要だ。管理計画認定制度や管理適正評価制度を意識した計画性のある管理を実施し、それに防災への取組等をプラスしていきたい。その基盤となるのは長期修繕計画であり、作成手法を含めて社内で共有し、対応していきたい。

――2021年6月に社長に就任した。新たにどのようなことに取り組むのか。
 新井氏 当社グループのマンション供給は横浜市鶴見区を中心とした京浜地区、東京都の城東地区で多い。高齢者のサポートなどのサービスを重層的に提供したい。管理受託マンションの住まいに関するあらゆるサービスを提供できるのが理想だ。自社で修繕や点検作業を内製化して担ってきた当社グループのDNAが残っている。管理するマンションの数が増えたため、内製化する業務と外注する業務を決めていかないといけないが、現段階では社員自らが担ってきた力とノウハウを活かして、あらゆるサービスが展開できることを当社の強みにしたいと考えている。
 その一方で、新しいサービスの開発にも挑戦する。管理職とプロジェクトチームを組織して、個別課題ごとに議論を始めている。デジタル化・IT化、働き方改革、長期修繕、サービス向上など議題を決めて、期間を定めて検討している。検討期間の3カ月間でその事業をやるか、やらないかの結論を定め、検討期間をタイトに設定している案件もある。一方で、議論に1年ほどかける案件もある。真面目に計画を遂行する能力は高いものの、とかく新しい挑戦には苦手な面がある当社の従業員の気質に刺激を与えつつ、サービスの向上を目指して継続的に取り組んでいきたい。
 また、カーボンニュートラルを意識して、マンションの共用部や専有部に省エネ器材を提供する取り組みを進めたい。居住者の健康環境をより良いものにするために、マンションの断熱改修の提案をしていく必要があると思っている。防災を含め、居住者へのサービスメニューの開発・充実を図っていきたい。
 木材利用促進法における木材の内装への利用の緩和を政府にはお願いしたいと思っている。マンションのエントランスに地産地消の木材を使うという提案をどんどん進めていきたい。木材商社である当社グループが得意とする木を活用し、環境に配慮したマンションの付帯設備をつくることに関心を持っている。エントランスの改修に木材を使いたいという思いは強く抱いているところだ。

敷地売却の事業性をどう担保するか
建替えに関する緩和策を

――リプレイスを拡大する方針はあるか。
 新井氏  前社長からの方針を引き継ぎリプレイスの拡大は注力して取り組む。年間1500戸を目標に、当社グループが重点的にマンションを供給してきた京浜地区などでの獲得を進めていきたい。
 最近、当社が管理していたマンションで一度解約になったものが再び他社の管理を経験した後、当社に戻ってくるケースがある。私共にとってはありがたく、当社の管理を誇りに思う。また、マンション管理士が主導して管理会社のコンペを行うケースが最近、見受けられるようになり、当社の丁寧な管理業務が評価され、声がかかることもあった。当社の管理の質の高さがマンション管理士や来年から始まる評価制度で見直され、強みとなってくれたら良いと思う。

――政策要望は。
 新井氏 マンション建替え円滑化法の改正により、敷地売却事業のハードルが下がったのは喜ばしいところだが、マンション管理会社にとっては敷地売却後にマンションではなくなることもあり、管理戸数が減る可能性がある。その一方で、長期修繕計画を作成してメンテナンスを繰り返すだけでなく、どこかの時点で敷地売却をゴールにしていく可能性についてもしっかりと考えていく必要がある。当社の場合、事業エリアは東京都内の一等地ではなく、神奈川県が中心だ。郊外、かつ中規模・小規模のマンションが多い。建替えで事業性がないのなら敷地売却は視野に入れざるを得ないが、管理会社の事業を含めてどう整理して取り組むか難しいと感じている。建替えに関する緩和策、あるいは補助金支給などを国として検討してもらえるとありがたい。

##新井 貴己氏(あらい たかき)氏
1963年2月10日生まれ。北海道出身。北海道東海大学芸術工学部卒後、建設会社に入社。1998年2月ナイス株式会社入社。2009年10月同社住宅事業本部商品企画部監理部長等を経て、2013年執行役員住宅事業本部商品企画部長兼商品監理部長兼事業開発本部パワーホーム事業部品質管理部長、2017年取締役執行役員建設事業本部長兼住宅事業本部副本部長、2019年上席執行役員木造ゼネコン事業本部副本部長兼住宅事業本部部長。2021年6月ナイスコミュニティー株式会社代表取締役社長。

2022/1/5 月刊マンションタイムズ

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