ESGを踏まえたPM・FMへの新しい意味付け(上) 大和不動産鑑定シニアアドバイザー 明治大学ビジネススクール兼任講師 村木信爾
大和不動産鑑定シニアアドバイザー 村木信爾

 現在、企業活動に関わらず社会活動全般においてESGへの配慮が強く求められている。 不動産関連サービス、特にプロパティマネジメント(PM)やファシリティマネジメント(FM)も例外ではなく、ESGという光が当たって、新しい意味が付与され、重要性が増してきている。
以下、PM(広義)は、「アセットマネージャー(AM)から依頼を受け、清掃、警備、設備管理などの日々のビルメンテナンス(BM)、外壁などの中長期的な大規模修繕を行うコンストラクションマネジメント(CM)、およびリーシングマネジメント(LM)を統括すること」、FMは、「PMと共通の機能を持ちつつ、自社ビル、工場等の従業員の安全性、利便性、快適性を高めて満足度を上げるためのより広い経営活動」という意味で用いる。

収益還元法での
不動産価値評価の基本

 不動産鑑定における収益還元法(直接還元法)は、総収益-総費用=純収益、収益価格=純収益/還元利回り、という式で表わされる。例えば、太陽光発電付の貸家の評価においては、テナント候補の増加やBMやCMの費用の適正化により純収益は増加する。
ただし、初期投資が回収できるかどうかはケースバイケースである。また、このような不動産には投資家も増え、競争が起こって還元利回りが下がり、収益価格は総じて上がり得る、と言える。

PM・FMにとってのESGの意味

(1)E(環境)
再生可能エネルギーの使用、省エネ、土壌汚染やアスベストなどの環境問題は、PM・FMの業務内容であり、この費用の適正化は、収益還元法の総費用に好影響を及ぼす。
(2)S(社会)
安全性、快適性、利便性の高いオフィスの提供等は典型的なPM・FM業務である。このようなオフィスを好むテナントが増えると、賃料が上がり空室率が下がる。また自社ビルでは従業員の生産性が向上することにより売上が増加し、収益還元法の総収益に好影響を及ぼす。
(3)G(ガバナンス)
不動産を運営する基盤としてのガバナンスは、不動産を所有、運営する会社のコンプライアンスなど一般の事業会社と同じである。2020年3月のスチュワードシップコードの改訂や2021年8月のコーポレートガバナンスコードの改訂では、サステナビリティの重視が強調された。個別不動産のガバナンスについては、次頁に述べる。ESGを踏まえたPM・FMへの新しい意味付け(下)へ続く

 2021/10/20 不動産経済Focus&Research

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