販売は全価格帯で順調に推移 今年前半の首都圏マンション市場を見る(上)
ドレッセ十日市場レジデンス(東急HPより)


首都圏の分譲マンション市場は、昨年の後半から急激に市場が回復し、コロナで一時止まった昨年前半とは一変している。特に郊外マンションの販売は、コロナ前よりも好転しており、全価格帯で販売は順調に推移している。ただ、事業用地の供給は増えておらず、用地仕入れに苦戦するデベロッパーが多いことも事実で、需給バランスに影響が出始めているエリアもある。今年前半の市況を見る。


首都圏の販売戸数は2019年とほぼ同水準に
価格上昇も23区などで販売好調率高まる

 不動産経済研究所のデータによると、首都圏マンションの1~6月の販売戸数は1万3277戸で前年同期比5788戸(77.3%増)と大幅に増加した。コロナの影響もほとんどなく、2019年とほぼ同水準で供給は回復している。後半も前半のペースがキープできれば、年間3万戸プラスアルファの供給が見込まれる。エリア別では23区の供給割合が51%から44%に低下し、郊外部の供給が回復傾向にある。ただ、着工数は2019年の水準を若干下回り、年間5.6~5.7万戸のペースで、販売が好調にもかかわらず、マンション用地不足により着工数が抑えられている。
 平均坪単価は318万円で3.9%上昇。都下、神奈川は低下傾向となったが、その他のエリアは上昇。平均価格も6414万円で5.4%上昇し、特に23区、埼玉、千葉で3~8%上昇している。エリア別では23区が8041万円、埼玉、千葉でも4000万円台後半と、都心のアッパー層向けハイグレードから郊外の一次取得層向けファミリーまで、価格上昇は続いている。コロナ前の2019年と比べた上昇率は大きく、港・千代田・渋谷といった超都心3区は15.2%、中央・新宿・文京の都心3区は21.5%、利便性の割に割安だった城北エリアが16.5%それぞれ上昇し、コロナ禍の影響は受けていない。
 1~6月の初月成約率は平均72.5%と好調な販売率をキープ。コロナで賃貸脱出志向が強まっているため、購入意欲が高く、来場数、歩留まりともに向上している。販売中在庫は6月末時点で6395戸、前年同月比13.4%・992戸減り、半年間で2116戸進捗するなど、コロナ禍の中で、在庫の進捗は順調に進んでいる。新規発売物件の価格がさらに上昇するなか、クリアランス物件は非価格的割安なものも多く、価格の割安感を武器に順調にクリアランス販売が進んでいるようだ。
 6月末時点の完成在庫も2637戸で前年比32.6%・1280戸減。2014年6月末の1298戸を底に、昨年まで6年連続で増加していたが、割安価格と即入居可という強みで、完成在庫の販売も順調に進捗した。
 足元の具体的な販売状況はどうなのか。調査会社のトータルブレインが2020年12月から今年6月までに首都圏で供給した197物件についてヒアリングを行っている。同期間の新規発売物件は232物件で、昨年の158物件から大幅増。2019年の259物件並みに回復している。ヒアリングをした197物件のうち「好調」と答えたこのは105物件・53%で、前年の49物件・37%から大幅増、苦戦は24物件・12%と少なかった。エリア別に見ると、23区・神奈川・埼玉の好調率が高かった。都下・千葉も好調は30%台だが、まずまずが60%前後を閉め、苦戦はほとんど見られなかった。23区の販売状況は全エリアで好調。「昨年前半は、コロナの影響で株価が不安定な動きをしたため、富裕層や中小企業オーナー等が様子見をしたこともあり、都心物件の販売が苦戦したが、後半から回復。今年前半は都心の好調率が75%と絶好調」(杉原禎之トータルブレイン副社長)。

 城南地区も好調率が72%で、アッパー層に人気のエリアだけでなく、城東・城北も好調率が大幅にアップしている。苦戦物件比率も全エリアで5~10%前後と非常に低く、ヒアリング結果から見ても、今年前半の23区はコロナに関係なく、都心から城東・城北まで全エリアで販売は好調だ。ただ、先行きについては、都心3区(中央・新宿・港)は、価格上昇に伴い、グロスの上限が1億円前後のエリアにあって、単価・価格ともに横ばい傾向に変化。城北エリアは単価の急上昇でグロス圧縮傾向が強まっている。都下は昨年後半からの供給増加で、やや供給過剰感のエリアが発生し、価格の調整をしながら販売を進めている物件も多く、価格は弱含み。神奈川、埼玉も苦戦する物件の理由は需給バランスの悪さが多い。(不動産経済ファンドレビュー

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