SDGs企業マッチングのケーススタディ―東南アジア社会的企業との成功例&取り組む方法(上)―ソーシャルマッチ株式会社 取締役 樋口麻美
ソーシャルマッチ株式会社 取締役 樋口麻美

ソーシャルマッチ

ソーシャルマッチとは、日本企業と東南アジアの社会的企業(社会問題の解決を一番の目的に事業を行っている企業)とのパートナーシップにより事業を通じてSDGs達成を目指すビジネスマッチングサービスで、日本企業が海外展開において課題を感じている部分を解決すると同時に、現地企業は事業を行いながら社会問題の解決も可能としている。

2019年に社を設立し現在は東南アジア6カ国(ミャンマー・ベトナム・フィリピン・カンボジア・マレーシア・インドネシア)107社の企業と提携している。提携企業が取り組んでいる分野は、ものづくり(21%)、教育(17%)、医療・福祉(15%)、農業(14%)など約10にわたっている。提携企業として登録する際には、代表者との面談や一部現地訪問など詳細な調査を行っている。これまではマッチングに向け実際に日本企業に現地に足を運んでもらっていたが、現在のコロナ禍ではオンラインで進めており、これまでに63件成立させている。

グローバル・パートナーシップ

この言葉は、SDGs17番目の目標である「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲット一つ「ターゲット17.16持続可能な開発に向けて実施手段を強化しグローバル・パートナーシップを活性化する」に掲げられている。実はこの17番目はSDGsの中で唯一目標達成のための手段を表している目標だと言われている。わが社はこの17番を特に用いて社のミッションであるSDGs達成の実現を目指している。

従来の海外展開は信頼関係構築に時間がかかったり、両者が自社利益を最大の目的と考えるために商談がまとまりづらい、商慣習が違うためハードルが高いなどの課題がある。だが、ソーシャルマッチであれば「SDGsを達成したい」という共通の思いがあるのでスムーズに提携しやすい。

自社の強みを活かしてSDGs事業を展開したいという日本企業は多く、一方現地で社会問題に取り組んでいる企業はSDGs事業をより拡大するため、日本企業と提携し日本の技術を学びたいと考えている。異なる強みを持つ両社がパートナーとなって取り組むことで海外展開が可能になる。とりわけ日本企業にとっては、途上国の企業と提携することは社会的インパクトが非常に大きいので、外部発信の強みにもなると感じている。

東南アジアの企業と取り組む強みは、以下の三点が挙げられる。

(1)カンボジアやベトナム、ミャンマーなど法整備が遅れていたりインフラが整っていない国が多く、社会的問題解決の緊急度が高い。民間による取り組みがかなり重要視されており、現地の本質的な社会問題に取り組める。

(2)提携企業はすでに数年~十数年にわたり現地で事業を展開しているので、現地マーケットや現地ニーズを熟知している。そうした現地企業と手を組むことで、よりスピーディーに事業に着手できる。

(3)お互いの強みを活かしスピード感のある事業展開が可能となる。

提携企業や成功例

・IT事業を通じて出稼ぎ労働者の減少に努める企業(カンボジア)

現地には外資もかなり参入してはいるものの労働場所がまだ整っていないので、タイやベトナムに出稼ぎに行く労働者はまだまだ多い。その場合、肉体労働がほとんどなので帰国してもスキルがないため次の就職先が見つからず貧困に陥るという深刻な問題がある。この問題に取り組もうとIT企業を立ち上げ、彼らに職や勉強の機会を提供しているが、事業展開をしていくうえで、日本企業と提携して先進的技術やスキルを学びたい、メイン事業であるデザイン業務のプロジェクトを日本企業から請け負うことで採用を増やしたいとの希望があった。

デザイン業務を行っている日系企業が業務依頼を行う海外のパートナーを探していたため紹介をした。コロナ禍により複数に渡る商談は全てオンラインで行った。業務委託契約が締結され、実際に2名の現地スタッフが採用されている。カンボジア現地の職業訓練・雇用創出につながっている事例だ。

SDGs企業マッチングのケーススタディ―東南アジア社会的企業との成功例&取り組む方法(下)へ続く

2021/8/18 不動産経済Focus &Research

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