大阪府は、マンション管理適正化と再生円滑化に向けた基本的考え方をまとめた。分譲段階、入居以降の管理段階、建替えなどの再生の段階のそれぞれで、自治体が取り組むべき項目を整理。管理計画認定制度の運用に当たっては、認定取得の有無の公表や独自の基準に防災対策の実施状況を加えることなどを方向付けている。
考え方は8月2日に有識者などを交えて開催した「大阪府マンション政策懇話会」の会合で示した。管理適正化・再生円滑化に向けては、▽地方公共団体による実態調査、▽分譲時点からの適切な管理の確保、▽管理組合の自律的で適切な管理の促進、▽建替えや敷地売却による再生は中長期で検討すること|と、4項目を重要視。分譲段階では分譲時からの適切に管理を進めてもらうための普及啓発などに取り組むこと、入居以降の管理段階では管理組合の自律的で適切な管理を促すこと、再生段階では再生の円滑化への支援に取り組むことなども示した。
実態調査の方法については、登記情報からの分譲マンションの所在地の把握や、国のマンション総合調査の項目を参考にしたアンケートの実施、アンケート未回答のマンションに対する現地目視調査や区分所有者へのヒアリングなどを挙げた。調査の頻度は5年ごととするか、今後府で定めるマンション管理適正化推進計画の策定・改定のタイミングなどを想定。また、築年数や規模、エリアごとに調査を分けることも想定した。
分譲段階の具体的な取り組みでは、改正マンション管理適正化法の基本方針案に示された新築マンションの管理計画を予備的に認定する仕組みが適切に運用されるよう普及啓発する。また、長期優良住宅認定制度を見直し分譲マンションの認定手続きを合理化する動きがあることを踏まえ、認定取得を促進する取り組みも行う。
入居以降の管理段階の取り組みでは、適切に管理されているマンションが市場で評価されるために消費者がマンションの購入を検討する時点で適正に管理されていることがわかることが必要と位置づけ、府として管理が不適切なマンションに能動的に関与するとした。法律に基づいた助言や指導を行う上では、ソフト面がメーンとなっている国の判断基準に、ハード面の目安を独自に追加。建物の劣化や損傷が発生した場合や見込まれる場合に早急に点検し修繕することを基準とする。
改正法で創設される管理計画認定制度の運用に当たっては、民間の管理状況を評価・診断する制度との連携を検討するとした。また、管理計画の認定を取得しているかどうかを府で公表することも検討し、制度の活用促進や普及啓発につなげる。認定基準には、耐震改修計画を作成し関係する工事がその後5年以内に完了している点や、消防計画の作成、定期的な防災訓練の実施といった防災対策が取られていることを独自に加える。
再生段階の取り組みでは、管理組合が中長期の計画を定め、解体積立金などの資金計画も含めた「現存マンションのたたみ方」の検討ができるよう支援することを検討。改正マンション建替円滑化法で課題が認定されれば容積率を緩和できる項目が増えたことからその適切な運用を促すほか、建替え工事期間中に公営住宅を仮住戸として活用できるよう体制を整備する方針も打ち出した。
2021/9/5 月刊マンションタイムズ