シリーズ;空き家活用新時代③ 空き家の借上げ活用モデルを全国展開、まずは大阪・金沢で ージェクトワン 大河幹男社長(下)
co-factory渋谷(ジェクトワン)

シリーズ;空き家活用新時代②に続く

―これまでの実績をみると都内の物件が多い

大河氏 アキサポは過去5年で大小含めて30件程度程度の実績がある。立地は港区、渋谷区、世田谷区、大田区、文京区、豊島区、墨田区など23区内のほか、京都市で1例ある。従前用途は一軒家のほか倉庫などが多く、改装後の用途はカフェなどの店舗やシェアオフィスなど非住居が多い。都心部の物件では、渋谷にある東京電力の社宅を改装してシェアオフィス「co-factory渋谷」としてオープンした。この施設の建物は4階建てで、1・2階が変電所で、3・4階に専有面積50㎡台の3DKが8戸あり、3・4階のみを15年の定期借家で借りた。リノベーション費用に7000万円を掛けて改装し、シェアオフィスの運営会社と一緒に施設を運営している。現在満室稼働の状態だ。

co-factory渋谷(ジェクトワン)
co-factory渋谷(ジェクトワン)

―リノベーションのポイントは

大河氏 その場所が何に合うかだと思う。例えば豊島区・南長崎の時計修理店をブックカフェに改装したが、ここはトキワ荘跡地に20年7月に開業した「トキワ荘ミュージアム」に隣接した場所だった。このミュージアムに来訪する人をターゲットにした店を考えたときに、ブックカフェがいいのではないかという結論に至った。大田区仲六郷の廃倉庫は、袋小路のように入り組んだ土地だったため、倉庫として再生はせず、第一京浜に近いという立地を生かして、大型のバイクガレージとして再生した。最終的には近隣や所有者の意見をきいて決めている。 

―地方の空き家はどう対処するか

大河氏 アキサポは直属の「地域コミュニティ事業部」のほか、関連部門の数人だけでやっている。人員リソースが限られるので、地方までは手が回らない。そこで東京外からの問い合わせをカバーするためにネットワークを作る。当社は近年メディアに多数取り上げられるようになり、それを見た地方の事業者などから様々な問い合わせがくるようになった。その中でアキサポのブランドを貸してほしいという声があり、6月末から「アキサポネット」の名称で全国ネットワークをローンチする。既に金沢、大阪などに所在する事業者とライセンス契約していて、年内に10県を目標にアキサポを展開、ゆくゆくは全都道府県での展開を目指したい。東京と異なり、地方の空き家は賃料が出ないから一概にできるかというと難しい。ただし地方でも既成市街地の中心部で空き家になっているところであれば、活用は十分に可能だ。全国ネットを構築することで、地方の人から問い合わせがきても、すぐに紹介できるし、それ以外でも情報交換できることはメリットだ。東京については自分たちでできるが、神奈川や埼玉といった東京の近県については再来年までにはネットワークを構築したい。 

改装前の仲六郷バイクガレージ(ジェクトワン)
仲六郷バイクガレージ(ジェクトワン)

―空き家対策特措法が施行から6年目になる

大河氏 法律では特定空家の行政代執行も可能だが、実際には代執行まで至った事例は極めて少ない。特定空家となるような空き家は所有者不明のケースも多く、空き家法だけで解決できる問題ではない。空き家をあえて残すことで税金を上げずに済むので、解体したくないという人もいるし、建築基準法上、再建築不可となる場合は解体すると何も建てられないし、再生するにも新築の倍の費用が掛かったりする。税制含めて関連法制度の再検討を要するのではないか。

―地元行政の課題は

大河氏 空き家問題がメディアなどでクローズアップされて、さらに空家等対策特別措置法によって自治体の意識が変わり、空き家所有者の意識も高まっているとは思う。ただし、空き家問題を真剣に捉えている人が絶対数として少ない。体質上、役所にできることはセミナー開催と解体費助成しかない。実際の手助けは民間にしかできない。売りたくはないけれどどう活用すればいいか?といった細かいニーズに対応するには行政だけでは難しい。だからうまく官民連携ができればいい。一方で役所は、民間に利益を取らせたがらない。そこは十把一絡げではなく、企業単位で何をしているのか、実績を含めてしっかり見ていただきたい。空き家が多い23区内のある区では、空き家対策を区の公社1社に丸投げしていて、民間企業はお断りだ。空き家対策はどこか1社だけでは解決できず、様々な事業主体で連携していくことが必要だ。一方で不動産会社も結局は売買か管理だけで、活用のノウハウがなく提案力に不足している。双方に課題はある。

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