トップインタビュー・野村不動産ソリューションズ・前田研一社長 リテールと法人統合し両事業の強みを融合
野村不動産・プラウドシリーズ

野村不動産アーバンネットは4月1日付で、社名を「野村不動産ソリューションズ」に変更した。同社が担っているリテール事業と野村不動産が手掛けていた法人仲介事業を同社に統合し、1社体制で展開していく。前田研一社長に狙いや今後の組織体制などを聞いた。  

 ―新たな社名について。  

 前田氏 社内公募で集まった約300の提案の中から決めた。ソリューションは問題解決の意味。複数形にすることで問題解決に取り組む組織・集団の意味となる。顧客の不動産に関するあらゆる問題を、質の高いコンサルティングで解決するという意味を込めた。

  ―法人仲介とリテールを1社体制にする狙いは。

  前田氏 野村不動産で行っていた法人仲介の強みは、野村證券とコ・ワークできる高度な専門性と、日本全国を網羅し、シンガポールと香港の海外2拠点を設けてインバウンド需要の掘り起こしを行うネットワーク。リテールの強みは、顧客満足度の高いサービスコンサルティング力とデジタル領域への先進性だ。不動産情報サイト「ノムコム」の運営にとどまらず、ICT技術を他社に先駆けて取り入れてきた。両事業の強みを融合することで、法人・個人、エリアにとらわれず、多様化する顧客ニーズにワンストップで応えていく。リテールで先行して導入してきたICT技術を法人仲介でも積極的に活用していきたい。

 ―4月からの組織と人員の体制について。

 前田氏 法人仲介を担う法人営業本部は野村不動産からそのまま移行した。法人営業部は一般の上場企業や未上場の大手企業を、アセット営業部はファンドなど機関投資家を、ウェルスマネジメント部は野村證券とのコ・ワーク部隊で、超富裕層を担当する。また、中堅・中小企業や企業オーナー、個人投資家などを担当するパートナー営業本部を新設した。これまではリテール担当の流通事業本部と法人営業本部でそれぞれカバーしてきたが、ターゲットとして明確に設定し対応していく。パートナー営業本部が約80名、法人営業本部が約200名、これに流通事業本部を合わせた3本部計1150名でスタートする。パートナー営業本部と法人営業本部は今後さらに拡大していきたい。

 ―足元のリテール仲介の市況は。

 前田氏 昨年は緊急事態宣言下で店舗営業を自粛し厳しいスタートとなったが、7月以降は成約件数が概ね前年超えのペースで推移している。秋頃には前年の5割増の反響があるなど好調が続く。年間でみると、前年にほぼ近い微減となりそうだ。好調が続く都心駅近マンションに加え、テレワーク需要で郊外の戸建ても復権しニーズが広がってきた。懸念点は在庫物件の少なさ。新規の媒介件数は前年対比の85%程度で、少しずつ戻ってきてはいるが売主の動きは鈍い。新築供給も少なく買い替え先が少ないことや、コロナ禍で価格が下がらず売り急ぎがないこと、内見への抵抗感などが要因ではないか。店舗戦略は数を追うのではなく、既存店の人数を拡大し大型化を図っていく。

 ―法人仲介の動向について。

 前田氏 商談相手は限定されるのでリテールに比べて非対面でも進めやすく、1年間でみるとほぼ前年度並みの微減で着地しそうだ。海外勢やリートの取得意欲は活発。世界的にみて日本の不動産は割安感があり、コロナ禍でチャンスとみているところも多い。決算前の企業の不動産売却の動きとしては、相談は増えてきたが、ディールまでにはそれほど至らず、大きなうねりにはなっていない。今後、中・小規模の案件で増えてくるのではないかと期待感はある。(日刊不動産経済通信)

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