立岩・国土交通省マンション政策室長インタビュー 改正法施行へ仕込みの1年 2法改正の好循環形成へ周知(下)

立岩・国土交通省マンション政策室長インタビュー 改正法施行へ仕込みの1年 2法改正の好循環形成へ周知(上)より続く

2021年は、昨年改正されたマンション管理適正化法とマンション建替円滑化法が2022年度から施行される上での枠組みを整備する重要な1年になる。改正法により自治体や管理組合などで取り組むべき内容も増える中、基本方針や管理計画認定制度の認定基準などの策定に取り組む国土交通省はどう意識しているのか。立岩里生太・住宅局市街地建築課マンション政策室長にどのような1年にしていくか、考えを聞いた。

――地方公共団体が管理適正化推進計画の策定や管理計画認定制度の運用を検討する上で、国としてどう促していくか。
 立岩氏 地方公共団体の方々との意見交換では、管理適正化推進計画の作成などにあたっての様々な課題を伺っている。例えば、国の基本方針や管理計画の認定基準が示されないと、地域独自の施策も検討しづらいという話がある。また、区域内のマンションの管理状況を把握するためにアンケート調査を実施したけれど回収率があまり高くない、あるいは、回答のないマンションほど管理不全が危惧される、といった個々のマンションへのアプローチの困難さも挙げられている。
 こうした声を受けて、国としては検討段階の基本方針案を前広に示していくとともに、先行して取り組まれている地方公共団体の取り組みなども参考にさせていただき、マンション管理の実態を効果的に把握する方法などを横展開していきたい。
 ひとつの方法として、以前から実施してきた補助事業「マンション管理適正化・再生推進事業」をより多くの人に周知していきたい。現在も国土交通省のホームページに掲載しているが、すぐにアクセスできる位置にないなど、実施した事業の内容が多くの人に見てもらえる状況とは言い難い。より目の届きやすい方法を検討するとともに、様々な課題に取り組んだ結果が示されているので、テーマや課題ごとに事業を区分けして見やすくすることも必要だ。今年度中にもこうした整理を実施したい。来年度以降は、マンション管理センターにも協力を仰ぎ周知に注力していく。
 また、地方公共団体の中には、そもそもマンション政策を行うための職員や予算が必ずしも十分でないところもある。このため、管理適正化推進計画の作成に向けた実態調査、それを踏まえた施策の検討や有識者への意見聴取、さらに管理に課題のあるマンションに対する専門家派遣などの地方公共団体の取り組みを支援するため、2021年度概算要求でもマンション管理適正化・再生推進事業に2・6億円を計上している。上限1000万円の定額補助なので、予算が成立すれば積極的に活用いただけるようお願いしたい。

――改正建替円滑化法の普及・浸透に向けての取り組みは。
 立岩氏 まずは管理組合や区分所有者の方々に「建替えは特別なことではない」という意識を持っていただくことが必要と考えている。もちろん、区分所有者、特に住まわれている方々にとって建替えは一大事であり、私自身もマンションに住んでいるので、ローン返済も終わらないうちからいずれ取り壊すのはなかなか想像できないくらいだ。しかしそれはいつか必ず訪れるものであり、ある程度の築年数になれば、管理の延長線上にあるマンションを再生するためのひとつの選択肢として、建替えが当たり前に検討されるようになるべきだろう。
 建替円滑化法はあくまでも建替えなどの事業手法を定めているものなので、普及や浸透はそうなったときに初めて広く進むと考えるが、新築から日常管理、さらに建替え等までのマンションのライフサイクルを考えると、おのずと円滑化法にも関心を持っていただけるはずだ。
 こうしたこともあり、今回の法改正ではこれまで別々の法体系だった管理適正化法と建替円滑化法を関連付けた。マンション管理についての国の基本方針では「建替え等に向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項」も記載することにしている。一方、建替え等についての国の基本方針は、マンション管理についての基本方針と「調和が保たれたものでなければならない」としている。
 これら2つの法律が相まって、マンションの管理適正化と再生円滑化の好循環が生まれるよう、国としても務めていきたい。管理組合や区分所有者、マンション管理士、管理会社、デベロッパー、地方公共団体をはじめとするマンションに関わる方々の理解と協力をお願いしたい。

月刊マンションタイムズ 2021年1月号

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