シリーズ;事故物件を歩く⑦ 孤独死の現状分析(下)
アイアル少額短期保険・安藤社長


シリーズ;事故物件を歩く⑥ 孤独死の現状分析 より続く


自殺者数の増加が取り沙汰されるようになった。自殺の場所が自室であれば、それは孤独死となり、事故物件化する。孤独死の現状について、増えているのか・減っているのか?年齢、性別、地域、物件の特徴はどのようになっているのか。孤独死が発生した場合のオーナーや、管理会社、相続人の備えはどのようにすればいいのか。一般社団法人・日本少額短期保険協会の副会長で、アイアル少額短期保険社長の安藤 克行氏に、孤独死の現状と、少額短期保険が果たせる役割などについてきいた。

 ―自然な見守りの仕方とはどのようなものがあるか。


 安藤氏 例えば電気の使い方。つけっぱなしが3日続くと、これはおかしい、とオーナー側に連絡がいくシステムがある。こうしたライフラインと絡めた自然な見守りサービスが月300円からある。この程度のコストなら、入居者ではなくオーナーが払っても良いはずだ。携帯電話を充電しているかどうかがわかる「元気にしTEL」というアプリもある。もちろんどれがいいというのはない。逆に寂しいお年寄りにはコミュニケーションが密な「電話型」がいいかもしれない。3日に1回、電話連絡するサービスがあり、中には電話がくるまでわざと待つ人もいると聞いている。見守られる側がコミュニケーションを取れるサービスは、ひとつの生きがいかになるかもしれない。いずれにしても孤立を生まないサービスが大事だ。ただし、電気・ガス・水道いずれも止められている、既に生活が崩壊してしまっているような、非日常の生活を送る人となるとかなり難しくなる。そういう人たちにアジャストする体制がまだできてない。こういう層には逆に住人がお互いに見守りをすることで一日数百円その対価を支払うとか、そういう共助型のサービスがあり得るかもしれない。


 ―孤独死関連の保険商品について。
 

 安藤氏 2種類ある。まずは家主型。そして入居者型。家主型は当社を含めて、いま取り扱っている会社は5、6社しかない。損害率高いために販売停止にした会社もある。孤独死が起きると、保険会社が保険金としてお支払いをする。通常、保険の仕組みとしては損害率を6割前後でみているが、アイアル少額短期保険の孤独死保険の損害率は、8割前後とかなり高い傾向にあった。商品としては継続が難しい状態となってしまっているため、保険料を少し、上げさせていただいた。私は孤独死保険を開発した当時、今後見守りサービスの普及が急速に進むとみていたから、保険の掛け金をなるべく安くしようと考えた。 だが想定以上にこうした見守りサービスの普及が進まず、結果として事故だけが増えている現状に憂慮している。日本社会は、欧米と比較するとリスク社会ではないからだと思っている。 

 ―アイアル少額短期保険の家主型保険について
 

 安藤氏 事故が発生すると、オーナーは入居者の遺品整理と残置物撤去を行い、原状復帰を行う。当社の家主型の保険は、そこまでの費用を100万円持つものだ。過去の事例で言うと、200万円前後の見積もりが多いが、そのうちの事故による損害を100万円までを保証する。孤独死した入居者に身寄りの人がいない場合につける相続財産管理人にも5万円を出す。それらに加えて、事故物件化してしばらく新たな入居者が入らない場合もある。将来家賃を最長12カ月間、200万円を限度に支払う。将来家賃の算定は、事故当時の家賃の80%。それを最長12カ月間だ。

 ―入居者型については
 

画像はイメージです

 安藤氏 家主型と異なり、入居者型の保険を取り扱う会社は30社くらいある。入居希望者が加入する家財保険に特約として孤独死保険が付帯されているものだ。当社の入居者型の保険では、孤独死が発生した場合に、その清掃・消臭費用として50万円を支払う。家財保険に入らないと、賃貸住宅は借りられない。家主型孤独死保険が世の中にでたときに、複数の少短会社が、入居者側にもリスクがあるために開発した特約で、いまはこうした特約がつくのが一般的だ。ただしあくまで特約で主契約は家財保険。当社の場合、2年契約の保険料11600円のうちの1600円が死亡事故の特約の分となる。

 ―孤独死保険は普及していると言えるか

 安藤氏 孤独死はまだまだリスクが認識されていないし わかりずらいリスクだ。そのため、オーナーに説明しても、入ろうか入るまいか、迷ってしまって結局入らない方もいらっしゃる。だから啓蒙活動が大事だと思っている。そもそも日本はリスク感性が低い人が多い。日本は賠償国家ではないので、何かが起きてから考える人が多い。いい意味で助け合いの精神が強い国柄 なので、リスクに自ら気が付かない。なんとかなるだろうと。一方で欧米はリスク社会だ。自分の身は自分で守らなければならない。そういう社会だから保険も発達する。日本は助け合いの精神だから保険が発達しにくい。だからリスクに気づいてもらうために、「孤独死レポート」としてデータを取りまとめている。108社の少短会社は売上規模も人数も大手保険会社とは二桁三桁違う。よってなかなか思うような啓蒙活動ができていない。ニュース性も大事だ。ある少短会社が開発した「痴漢冤罪保険」は、線路上を犯人が逃げる様子をニュースが何度も取り上げたことから、売上が伸びたと聞いたことがある。ニュース映像を見てリスクを認識したからだ。同様に火事の報道で、ニュースをみたことをきっかけに火災保険に入ることはあっても、孤独死の場合は映像化ができずリスクとして気づいてもらうことが難しい。

おすすめの記事