福岡中心部のオフィス空室率が上昇傾向―相次ぐ大規模開発で需給緩和に拍車も
アクロス福岡内部(記者撮影)

 

 福岡市中心部の賃貸オフィスビルに空室が増えている。コロナ禍で企業の業績が悪化し、特にベンチャーらが使う中小規模物件の需要が鈍い。三幸エステートの調査では、中型ビル(1階50坪以上100坪未満)の空室率は昨年12月末時点で5・1%と大型ビル(同100坪以上200坪未満)の実績を2・7㌽も上回る。全規模の空室率は3・06%と3年半ぶりの3%台だ。三鬼商事の集計でも平均空室率は3・79%と9カ月連続で上昇。市中心部では行政主導の大型開発案件が今秋以降に順次竣工し、さらに多くのオフィス床が出回る。

 コロナ禍もありオフィス床の需給が緩む傾向は東京や大阪、名古屋などの各大都市に共通している。ただ福岡市では今年以降、他都市を上回る規模のオフィス床が供給される。市が仕掛ける連鎖開発「天神ビッグバン」の第1号案件となる「天神ビジネスセンター」が9月に竣工。博多駅周辺でも「博多コネクティッド」の複合開発が相次ぎ形になる。完成すればオフィス床のストックは天神で現行の1・7倍、博多駅前で1・5倍に膨らむとの試算もある。だがコロナ禍で床需要が鈍るなか、それらが消化されるかは未知数だ。

 オフィスビル総合研究所(東京・中央区)の調査によると、福岡市では空室率の先行指標となる潜在空室率が上昇を続けている。来年にかけて多くの床が供給されるせいもあり、20年12月末時点の潜在空室率は前月末比0・35㌽増の5・04%と約4年ぶりに5%台に乗った。市内でテナントらの解約・退去が増える一方、「今後竣工する大型物件の内定は順調」(三鬼商事)との見方もあり、コロナの感染と景況の変化によってオフィス床の引き合いに強弱が付く状況が続きそうだ。(日刊不動産経済通信)

おすすめの記事