(提供:日刊不動産経済通信)大京穴吹不動産は、前期(23年3月期)に「リノアルファ」ブランドで全国に約1300戸を供給したリノベーション事業で、今期も供給戸数を拡大して事業の成長を目指す。同社アセット事業部の大熊善信部長は、「東京都心部で高額帯の3億~5億円の物件は順調な動きが続いている」と話し、業績のさらなる伸長に向けて都心部での事業拡大を狙う。
買取再販の素地となる区分マンションの仕入れ状況について大熊氏は、「都心部でも価格に頭打ち感が出始めて今後の推移を予想しやすくなった。港区などの高額物件では事業者が消費者と同じ価格水準でも買いにくる場合もあり、競争は激しい」と指摘。今期の供給目標に乗る水準の戸数を、現時点までは仕入れができているものの、「業績を牽引する都心部は、もう少し増やすのが理想」(大熊氏)としている。
顧客属性としては、これまで住宅市況を牽引してきたパワーカップルよりも、富裕層やインバウンドの需要が強いと捉えている。今後は旧耐震を含む高経年の物件の増加も視野に入れて、都心部の仕入れ拡大を目指す。一方、郊外や地方都市での供給は、事業採算性とニーズを確認しながら、慎重に取り組む。購入需要は引き続き堅調にあり、仕入れ環境も都心より良好ではあるが、付加価値がある高水準の住戸のニーズも限定的とみている。
リノベ住戸の企画では、「ファミリー向けに部屋数があるプランが好まれている」(大熊氏)と分析する。前期は資材の納入が遅延する影響があり、特殊な部材を必要とする個性的なプランなどの施工が遅れた事例もあった。今期は供給網の強化を課題に、先進的な住戸の供給なども進める。