シリーズ;熱海・伊豆山地区土砂災害④ 国交省、盛土の全国的な総点検に着手─熱海の土石流受け、標高差から抽出へ

 国土交通省は、静岡県熱海市での土石流災害の発生を受け、全国的な盛土の総点検を始める。国土地理院のデジタルマップの2時期を比較して、標高差が「+5m以上」に変化している箇所を抽出。1カ月後をメドに抽出結果を関係省庁や地方自治体に提供する。盛土地に対する点検の方針は他省庁と連携し今後決める予定で、まずは盛土地の数の実態把握を急ぐ。

 国土地理院の基盤地図情報数値標高モデルを用いる。地形改変前(00年頃まで)のデータと、地形改変後(08年以降)のデータを比較し、標高差分を調べる。どのような用途の土地かは問わず、標高差が+5m以上になっている「盛土可能性箇所」を見つけ出す。

 地形改変前のデータは、2万5000分の1の地形図データを基に作成されている。全国をカバーするが、標高精度は5mで、精度としてはそれほど高くはない。地形改変後のデータは、航空レーザ測量により作成され、標高精度は0・3mと精度には優れるが、カバー率は全国の7割程度。主要都市部・河川等は整備済みであるものの、人の居住のない山岳地帯を中心に3割は未整備エリアがある。そのため、全国的な調査ではあるが3割は比較できない場所がある。また、00年頃以前および08年以降の、比較の2時点の間にない時期に盛土が行われた場所も把握の対象外となる。

 盛土地は、宅地造成を目的に盛土された「大規模盛土造成地」だけでも全国に約5万1000箇所存在する。不動産業者などが過去に宅地造成で盛土を行った箇所について国交省は、「各局が所管する法令で開発され、法律が守られているものであれば、そういうところの点検までは必要ないのではないかと思われる」(都市局都市安全課)と現時点での見解を述べた。 (日刊不動産経済通信)

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