(提供 日刊不動産経済通信)岸田文雄政権は、デジタルの実装で地方の課題を解決するデジタル田園都市国家構想を掲げている。政府の経済財政諮問会議では6月の骨太方針に向けて地方活性化策が議論されており、議論では地方のイノベーション力に焦点が当てられ、その一環で「森林リートの組成」が挙がった。
会合では、民間有識者議員がDXを生かした地方創生と地方行財政改革に向けた意見を表明した。「地方では脱炭素が投資拡大の契機」と位置付けたうえで、林業の脱炭素社会への寄与と成長産業化の両立に注目。「新技術による生産性向上や木質資源の利活用を推進するほか、森林リートの組成等を含め、地方への民間資金の流れを強化する」と意見を述べた。有識者議員はこれらのために必要な制度整備や、人材確保の方策について検討することを求めた。
このほか、地方活性化のカギとなる関係人口の拡大も議論。関係人口拡大のため、多地域居住者等の動向をデジタルで把握できるようにすることや、多地域居住者等へのサービス提供の実態把握、ふるさと納税等を生かした負担共用の仕組みの展開などを求めた。民間有識者議員からのこれらの意見に対し、金子恭之・総務相は、関係人口ポータルサイトを活用してモデル事業で得た知見の横展開を図ることや、多地域居住を行う場合にはふるさと納税により、個人住民税の一部を実質的に居住先の地方団体に移転させることが可能となっていることを説明した。 議論を踏まえ岸田首相は、地方でのイノベーションについて「地方大学を核とした産学官連携・オープンイノベーションを促進し、地方色豊かなイノベーション拠点を全国に広げていく」と述べた。