国土交通省は8日、東急電鉄の運賃値上げを認可した。5日に運輸審議会が「認可が適当である」との答申が出されたことを受けたもの。東急は来年3月より値上げに踏み切る。運輸審議会は12.9%の値上げを軸とする東急の旅客運賃の上限変更の認可申請について、認可することが適当であると国土交通大臣へ答申していた。現金の場合、初乗りは130円から140円となり、渋谷から横浜間は280円から310円に値上げとなる。一律運賃の東急世田谷線は150円から160円となる。こどもの国線と通学定期は料金据え置き。
令和5年度から7年度にかけての運賃収入は、現行料金のままの場合1412億円のところ、値上げにより1556億円へ増収を見込む。一方損益では現行150億円の赤字のところ、値上げ後も6億円の赤字を予想している。
東急電鉄は、令和元年度末に世田谷線、こどもの国線を除く全ての駅にホームドア、センサー付固定式ホーム柵を設置したほか、車内防犯カメラ、踏切障害物検知装置の100%設置、地震、豪雨といった災害対策等の安全性の確保や新型車両の導入、駅バリアフリールートの100%整備など、コロナ禍前の過去5か年平均で大手民鉄の平均を上回る約540億円の設備投資を実施したとする。その結果、減価償却費等の資本費や維持管理に関する費用が増大した。
加えてリモートワークを始めとする新しい生活様式が急速に普及した影響で、定期券利用者は他の関東大手民鉄との比較で最大の減少率となっており、令和2年度に引き続き令和3年度も営業赤字を見込む。緊急事態宣言解除後の令和3年10月以降も定期券利用者がコロナ前との比較で3割減少し今後も需要の回復は見通せない状況となっている。