オンラインで意見交換会を開催<br>コロナ禍の運営、オンラインの可能性議論<br>マンションコミュニティ研究会

 マンションコミュニティ研究会(廣田信子代表)は8月に3回にわたり、「ウィズコロナの管理組合運営とコミュニティ」をテーマに、オンラインによる意見交換会を開催した。コロナ禍の中で管理組合運営やコミュニティ活動などでの課題や工夫した点、また今後のコミュニティのあり方やオンラインの活用について、管理組合の役員やマンション管理士などが体験した状況を紹介し、情報を共有した。研究会はこの意見交換会での報告を踏まえ、コロナ禍での組合運営やコミュニティに関するアンケートも実施する。
12月にフォーラムを開催してアンケート結果を報告するとともに、コロナ後の管理組合運営についての方向性を示す。

 意見交換会は1、2回目に組合役員や居住者、3回目にマンション管理士が参加。オンライン会議アプリのZoomを活用して意見交換を行った。事前に参加者に取ったアンケート結果が報告された後、参加者が自己紹介を交えコロナ禍で感じた課題や工夫などを報告した。その後、報告内容をもとにZoomの機能を使ったグループミーティングを実施して多方面からの発言を引き出せるようにした。各回とも約15人が参加した。1・2回目に報告された意見からは、総会や理事会でのオンラインの活用の是非についての報告が多くを占めた。開催方法は「パソコンやスマートフォンが使えない居住者もいるため、そうした人のために集会室でも開催し、そこにカメラを置いて自宅から参加した人をつないだ」など、オンラインを活用できる人からオンラインを導入し、少しでも密集を避ける方法を取るケースが多くみられた。ツールはZoomだけでなく、LINEやSkypeなど「居住者が使いやすいものから活用した」とする報告も寄せられた。仕事などでITに詳しい居住者がいるマンションでは「Zoomを使えた役員が使えない人に教えたり、使わなくなったスマートフォンを貸して利用させた」というケースもみられる。もっとも、「集会室が広いため、理事会は出席者の間隔をあけてリアルで開催した」(東京都内の約700戸のマンションなど)、「戸数が少ないので総会も理事会も対面式で開催した」(約60戸のマンション)、「マンションのある自治体に感染者がいなかったので、臨時総会を通常通り開催した」(都内の団地型マンション)などリアルでの開催事例も目立つ。

 高齢者がメールアドレスを持っていなかったり、アドレスの公開を拒む居住者がいてオンラインを使わなかった、といった理由もあった。オンラインで活発な意見交換ができるか、という懸念も寄せられた。発言のしやすさについて「オンラインで参加した人は理事会で発言することがほとんどなかった」という声があった一方、「オンラインでの参加者の方が発言する人が多かった」との報告もあり、マンションの特性やオンラインの習熟度などでも違いが生じるとみられる。ただ、オンラインでは複数の参加者で意見交換がしにくいと考えたり、通信環境の違いなどで開催時間や発言機会に制限が生まれることを見越し、事前の準備をするケースが多くみられた。報告では「レジュメを作成して審議項目を先に配布し、それを見て気になるところを事前に連絡してもらった」「意見を事前にメールでもらい、集約は会議で行う」など、事前の取組で会議の円滑化や議論の活性化につなげようとする事例が寄せられていた。

 一方、事前の意見を議事録に残すべきかについて、議論をしていない内容を残すべきでないとする意見があるなど、見解が分かれた。このほか、「緊急事態宣言中に管理会社が業務を休止したので管理委託費を引き下げたいが、どのように交渉すべきか」(都内の約30戸のマンション)、「マンション内にあるスポーツ施設の利用を求める人の声が強く、慎重派の居住者もいる中で感染者が発生した場合の対応に苦慮する」(約700戸の団地型マンションなど)のような、判断が難しかった事例が紹介された。感染者や濃厚接触者が発生した場合の対応を決めかねる意見もみられたほか、「自宅待機者がやむを得ず外出する場合は防災センターに連絡してもらい、外出後は組合で消毒を行うルールを決めた」とする事例も紹介された。

 またコミュニティの形成についても「コロナウイルスより、高齢者などが引きこもりになって体力が低下することが怖い」と危惧する意見があったほか、「マンション周りの草刈りを行った際に15人ほどの参加者がいて、人によって判断基準が違うのがわかった。3密にならない範囲で、来たくなければ来なくてもいい、というスタンスでイベントを開くのも方法だ」(関東地方の約400戸のマンションなど)、「人数や時間など社会で使われているルールに則って開催する」など一定の枠組みの中での開催を目指す動きが紹介された。またコロナ禍の対応として「マンションで調査した結果、家計が苦しい居住者が7%おり、余剰金もあることから、管理費を3カ月分、修繕積立金を1年休止することにした」とするマンションもあった。

 オンラインが新たな担い手生む予感も

 管理士もオンライン支援で業務拡大に

 管理士が参加した第3回では、オンラインでの会合の開催について「コロナウイルスの感染にナイーブな人と、気にせずに会合をやりたい人がおり、その意識の違いに苦慮した」と調整が課題だったと明かす管理士がいたほか、「オンラインの活用で管理会社のシステムが活用され、管理士はシステムに入れなかった」と、運営上で支障があった事例の報告もあった。また、「一人で話を続けてしまう区分所有者がいてほかの人が発言しにくいケースがあった。ルールづくりや、進行役の人を決めて進めることも必要だ」「管理会社とも普段からコミュニケーションを取っておくことで、管理会社の言いなりのような形にならずに進められるのではないか」と、活用の前に関係者間で関係を構築しておく必要性も指摘された。一方、「組合で資料を作成するなど主体的な態度が大事だ。管理会社のスタッフとしても刺激を受けたようだ」など、オンラインの活用の有無に関わらず組合が管理の主体であるという意識を持つ必要があるとの意見も続いた。さらに「若い世代の区分所有者が、IT環境の整備など自分の得意分野のことに積極的に取り組み、組合の活性化や若返りのきっかけになるように感じた」と、今回のコロナ禍が組合運営に変化を与えるとみる管理士もいた。
 このほか、オンラインが管理士の業務に与える影響も議論。参加者からはオンラインに前向きな意見が目立ち「組合の会合が夜遅くに終わってから帰宅するのは大変。年齢を重ね体力的にも厳しくなる中でオンラインの活用は賛成する」「顧問を務めるマンションと事務所や自分の住まいに距離があり通いにくかったが、打ち合わせにZoomを活用すると効率的だ」など、オンラインの活用で業務の拡大や効率化につなげたいとする意見が占めた。
 コーディネーターを務めていた廣田代表は「オンラインに限らず管理組合が主体的に管理に関わることが大事なので、コロナ禍をきっかけに若い世代の組合への参加も進んでほしい。そうした動きを管理士がサポートする方法もあるだろうし、それにより管理士の活用も広まってほしい」と展望した。

20/10/1 月刊マンションタイムズ

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