トップインタビュー・深谷オリックス不動産・大京社長 不動産事業を通じた社会貢献を進める 環境配慮や地域共生の開発 データセンターも検討
大京・深谷社長

 (提供 日刊不動産経済通信

   オリックス不動産・大京社長 深谷敏成氏

 ―現在の事業環境は。
 深谷氏 オリックスグループの不動産セグメントで大京や穴吹工務店が取り組んでいる分譲マンション事業は、高い住宅ニーズを背景に好調だ。ロケーションの良さと付加価値のある物件にこだわり、評価が付いてきていると感じている。原則ZEHを満たした環境配慮や地域貢献を重視する新しい価値観に加え、働き方の変化などの影響で増加した在宅時間に応える仕様を取り入れて、安全・安心・快適な空間づくりを行う。大京は年間1000~1500戸、加えて穴吹工務店の年間1000~1200戸の開発を続けて、2000~2500戸の水準を目安に、質の高い物件の供給を進めていく。開発用地の取得環境は依然として厳しく、売買の投資マーケットは過熱感がある。そうした環境下でも3~4年の事業用地のメドは立っており、質を高めた事業を進めるため人員配置もスリム化し、マーケットの状況をみながらバランス良く安定した事業に取り組む。大京では、三大都市圏に福岡、札幌、仙台などを加えて、コンパクトシリーズの「ライオンズミレス」から、地方主要都市での再開発事業に至るまで、多岐にわたる事業を展開する。


 ―グループで取り組む不動産事業は幅広い。
 深谷氏 オリックス不動産は物流施設の開発を得意としている。環境配慮を取り入れて省エネ化を進め、屋上などに太陽光パネルを設置して施設内で使う電力を賄っている。電力需要が増加し、太陽光の発電では電力不足が発生した時のみ、オリックスグループ内の環境エネルギーサービスから100%再生可能エネルギー由来の電力で補うため、脱炭素を達成した物流施設となる。環境配慮では、まずは省エネ、次に創エネ、そして再エネへと取り組みを進めていく方針だ。また、グループでは大阪でうめきた地区や府議会で区域認定の議論を行っている最中のIRに加えて、仙台駅前でも大規模再開発事業の計画が進行中だ。グループシナジーを生かして、各地域で専任の担当者を配置し、特徴を発信して交流を生み、地域の発展を促進する施設の開発・運営を目指す。


 ―今後の事業戦略について。
 深谷氏 総合的に不動産事業を強化していく。分譲マンション事業では、戸数規模を追いかけるのではなく、ロケーションの良さや物件の質の高さを維持しながら、これまで大京が得意としてこなかった500戸を超えるような大型マンションに首都圏でチャレンジしていく。技術の進化を取り入れ、在宅ワークに適したスペース作りや利便性の高い宅配ボックスの設置などきめ細やかなニーズの対応を進める。また、施設運営事業やアセットマネジメントビジネスの基盤を伸ばしたい。現在は、分譲マンションなどフロービジネスの収益が半分程度といった比率だが、今後は安定的な事業基盤とするために賃貸収入やマンション管理などストックビジネスの収益で7割近くを目指す。オフィスでは、テナントは様子見をしている感が強い。今後、出てくるであろう多様なニーズを反映できる施設の開発を続けていく。マンション管理事業では、既築マンションで環境対応を促す大規模修繕工事の提案なども行っている。新築の物件以上に、既築の物件が共用部のLED化など小さなことから環境への対応を進めていくことが重要だ。そして新たに、データセンターの開発事業への参入を検討している。事業家の近くに展開する都心型の施設と、大規模な事業者が利用する郊外型の大型施設の両面での開発を見据えている。

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