トップインタビュー マンション管理の未来57 中央日土地レジデンシャルサービス社長 初澤剛 氏(上) 
中央日土地レジデンシャルサービス社長 初澤剛氏

超高齢社会を迎えた中で増え続けるマンションストック。建物の老朽化と入居者の高齢化に加え、管理員の高齢化という「三つの老い」が進み、修繕・改修工事等も含むマンション管理の重要性がますます高まっている。このコーナーではトップインタビューを通じてマンション管理の未来を追う。今回は、昨年10月1日付で営業を開始した中央日土地レジデンシャルサービスの初澤剛社長に同社の設立の経緯や今後、重点的に取り組んでいく事業などを聞いた。

《本文》

製販管一体の体制を構築バウス」ブランドの向上を目指す

3社合弁で管理会社を設立 「バウス」らしさを融合して新サービスへ

        

――2021年10月からマンション管理事業をスタートした会社設立の背景と基本方針について。

 初澤氏 当社グループの住宅事業は1963年の宅地開発事業からスタートしている。以来、総合不動産業としてオフィスビルの開発と管理、住宅開発、仲介等と多岐にわたった事業を展開していたが、特に住宅事業については戸建て住宅の大規模分譲がメインであった。マンション事業にも1960年代に進出したが、JV(ジョイントベンチャー)の1社として参画することが多かった。2000年代からは単独事業や大規模再開発事業にも乗り出し、2016年にはマンションブランド「BAUS」(バウス)を立ち上げた。ブランドスローガンは「感動が育つ住まい。」。より良い人生を送ることができる高品質な住まいを提供することを目標に、年間500戸の安定供給を目指している。ようやく年間供給戸数が300戸を超え、今年は500戸に到達するであろうという規模にまで育ってきたところだ。

用地仕入れから開発、販売まで当社グループで展開していく中で、管理だけは内製化していなかった。これについての問題意識は常に持っており、販売後もお客様に寄り添い、サポートする体制を築きたいという思いは強かった。製販管一体体制で住宅事業に取り組みたいと考え、管理会社設立の準備を進め、創設に至った。

販売後もお客様とつながりを持ち続けることで、当社グループが供給するマンションやそれに付随したサービスの改善点に気づく機会が得られるだけでなく、建物を管理していく中で起こる様々な事象を拾い上げ、商品に活かすことができる点で重要だと認識している。また、最近はマンション内のコミュニティの形成が重要視されている。当社が管理を担うことで、お客様の声を商品企画やサービス向上へとつなげ、「バウス」を魅力的なブランドへと成長させる好循環を目指したい。

――長谷工管理ホールディングスや神鋼不動産ジークレフサービスとの3社による合弁会社での設立に至った経緯は。

初澤氏 当社がJVでマンション開発に乗り出してから、長谷工コーポレーションとは親密な付き合いがあった。神鋼不動産については2018年に当社グループと事業提携を締結しており、事業協力の機会を探っていたところであった。当社グループはマンション管理業の経験がないものの、神鋼不動産はグループ会社の神鋼不動産ジークレフサービスがマンション管理業の実績があり、首都圏でも管理物件があった。何もないところから管理業をスタートするのではなく、ひとつの基盤を持った上でスタートすべきと考え、神鋼不動産ジークレフサービスの東京都内を中心とした26組合・約1000戸の管理業務を承継した。まずは神鋼不動産ジークレフサービスの社員に当社に参画してもらい、システムや事務業務などを取り入れてスタートを切った形だ。

また、管理戸数の規模が大きい長谷工管理ホールディングスからは、最新のサービスやノウハウを学ばせてもらい、ジークレフから受け継いだものと中央日本土地建物グループの「バウス」らしさを融合して、新しいサービスが創れたらいいと思っている。

マンション管理の未来57 中央日土地レジデンシャルサービス社長 初澤剛 氏(下)へ続く

月刊マンションタイムズ 2月号

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