東京都心A級ビルの成約賃料が大幅下落 三幸ら調査、コロナ禍で7年ぶり低水準

 21年第4四半期(4Q、10~12月)に東京都心でAクラス(級)オフィスビルの成約ベース賃料が大幅に下がったことが三幸エステートらの調査で分かった。コロナ禍でオフィスの使い方を見直す企業が増え、坪当たり月額の成約賃料は前期比4238円減の3万696円と14年4Q以来、約7年ぶりに3万1000円を割った。空室率は0・1㌽減の3・2%と上昇ペースが鈍ったものの、都心の中心部以外で需要が弱く、貸し手が契約条件を緩める動きが広がっていると分析している。

 同社とニッセイ基礎研究所が3日に公表した「オフィスレント・インデックス(21年第4四半期版)」によると、A級ビルの賃料は20年4Q以降、4期連続で3万5000円前後が続いていたが当期に大きく下落した。中心部を除く都心地域でリーシングの長期化と空室増加が顕著で、そのことが賃料動向にも反映された。A級ビルの空室率は9期ぶりに下がったが、新築ビルに移転した後の二次空室などが目立つという。

 一方、B、C級ビルの需給にはA級ビルほどの大きな変動はない。賃料はB級が20円増の2万188円、C級が564円増の1万7115円。空室率はそれぞれ前期比同の4・3%、0・1㌽増の4・1%。B級ビルにはビル内の拡張移転や一時的な大口需要などが増え、6期連続で上昇していた空室率は横ばいになった。ただ三幸は「オフィスの需要にはコロナ禍前の勢いがなく、空室率の上昇が続きそうだ」としている。

 C級ビルの空室率も上昇幅が狭まり、賃料は5期ぶりに1万7000円台に乗った。複数の新築ビルが空室を残し竣工したが、A、B級ビルに比べればテナントの動きは活発だという。(日刊不動産経済通信)

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