動き出す「新宿グランドターミナル」計画、歩行者目線で新宿再整備; 京王線ホームが丸の内線側へ移動、新宿駅と西武新宿駅が地下直結
新宿グランドターミナル計画 建築物完成予想図

 新宿駅西口地区開発「新宿グランドターミナル」計画が動き出す。小田急電鉄・東京メトロは小田急百貨店新宿店跡地等に整備する高さ260m、地上48階建ての高層駅ビルに着工、7年後の29年度の竣工を目指す。東京都と新宿区が定めた「新宿の拠点再整備方針~新宿グランドターミナルの一体的な再編~」(2018年3月)を元に、都・区のほか電鉄5社(JR東日本、小田急電鉄、東京メトロ、京王電鉄、西武鉄道)ら関係機関が共同し、「新宿の拠点再整備方針」を具現化していく。

 新宿グランドターミナル計画は、小田急百貨店新宿店および新宿ミロード、モザイク通りの敷地を合わせた1万5700㎡の敷地に、商業施設・オフィスからなる高層複合施設を整備するもの。新宿店の売り場は9月末までに順次営業を終了させ、10月にも解体工事に着手する。加えて新宿駅の東西・南北方向について利便性の高い歩行者動線を整備し、駅周辺の回遊性を改善させる。例えば新宿駅の東西の歩行者動線は地下連絡通路「メトロプロムナード」がメインで、20年7月にJR駅構内の新宿駅東西自由通路が開通したが、JR線路上空に歩行者デッキを新設するなどしてさらに分散化を検討する。駅南北方向の動線については中層階(9~14階)に長さ400mの空中歩廊「スカイコリドー」を設ける。この空間に併設する形でオープンイノベーション施設を整備する。

 新宿西口駅前広場は、地上はバス、地上から地下に掛けてはタクシーなどが使用するループ車路で占有されている。歩行者の空間がほぼない状態であるため、開発計画ではバス・タクシーなどの車両系機能を2カ所に分散させ、その中央に歩行者専用のボイド空間を設ける。新たな歩行者空間を利用すれば、地下に降りずとも、地上から西新宿エリアに徒歩でアクセスすることが容易になる。

新宿グランドターミナル計画 建築物完成予想図

 

計画に参画する電鉄各社の狙い

 新宿地区は周辺ターミナルの渋谷はもとより、池袋に比べても都市再開発の遅れが目立つ。新宿の競争力が落ちてきているのは、計画に参画する電鉄5社の共通認識。このことが『新宿グランドターミナル』再編計画に繋がった。

 一方、5社でそれぞれ思惑もある。『グランドターミナルを一体化して整える』という方針の下、京王電鉄は京王線・新宿駅ホームを東京メトロ丸ノ内線側に移動させて改札を設けるなどして、乗り換え利便性の向上を図る案を検討している。また西武鉄道は、西武新宿駅と東京メトロ新宿駅をつなぐ新・地下通路の整備を検討中。具体的には西武新宿駅地下の「新宿サブナード」と前述のメトロプロムナードの間に直線で移動できる新たな地下通路で、これにより新宿駅から西武新宿駅まで迂回をせずに地下移動が可能となる。一連の計画が全て実現すると、これまでJR新宿駅・新南口の整備と「バスタ新宿」や「JR南新宿ビル」の開業など、南側へ重心が移りつつあった新宿が、再び西側へ戻るきっかけとなりそうだ。

 小田急によると「新宿グランドターミナルについて、一般の方の認知度が低い」(小田急電鉄事業創造本部)ため、PR用のプロモーション動画を制作、14日より小田急電鉄の公式youtubeチャンネル「OdakyuMovie」で公開している。今後もまちのイメージや価値を高めるため、官民連携により情報発信等の取組を進める。

これまでの経緯

 

2017年6月 「新宿の新たなまちづくり~2040年代の新宿の拠点づくり」
策定(東京都、新宿区)
2017年6月~ 新宿の拠点再整備検討委員会における検討
2018年3月 「新宿の拠点再整備方針」策定(東京都、新宿区)

2019年12月都市計画決定

~新宿グランドターミナルとは~
駅、駅前広場、駅ビル等が有機的に一体化した次世代のターミナル
誰にとっても優しい空間がまちとつながり、様々な目的を持って訪れる
人々の多様な活動にあふれ、交流・連携・挑戦が生まれる場所


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