福岡市のマンション管理適正化推進計画、実態調査や定期報告を活用し実態把握 認定基準は独自に防災の取組を追加

 福岡市はマンション管理適正化計画の素案をまとめた。計画期間は4月から2025年までの4年間で、取り組む施策は基本的な施策として3項目を設定した上で、3項目に関連する具体の施策全13項目を設けた。また、市内マンションの状況を把握するために実態調査を5年ごとに実施するとしたほか、特定建築物の定期報告制度を活用するとしている。基本的な施策3項目の達成に向けた目標を設定し、その達成状況を実態調査で把握しその後の活動に生かすサイクルを取り入れる。
 基本施策は①自主的かつ適正な管理組合の運営の促進、②良質なマンションの維持修繕の促進、③安全・安心・快適な住生活を支える良質なコミュニティの形成―の3点が柱。
 ①の具体の施策では、管理計画認定制度などによる適正管理の推進や専門家による支援体制の充実、管理組合運営の実態把握と集計結果の公開などを挙げた。管理計画認定制度については、管理組合による認定申請を促進するため、申請書の作成に係る経費の一部を補助する支援制度の創設を検討する。また市独自の認定基準を定めるほか、法律に基づく助言・指導等も市の判断基準を導入する。
 また、実態調査などで適正な管理が実施されていないと思われる組合に対して専門家の派遣などで継続的に支援する制度の確立も目指す。組合運営の実態把握では、建築設備や防火設備などを専門技術者が調査・検査しその結果を報告する定期報告制度を5階建て以上のマンションに義務付けており、このデータと実態調査の結果を合わせ管理状況の把握につなげる。実態調査は5年ごとに行うこととし、戸数や竣工時期のほか、総会の開催状況や長期修繕計画の策定状況といった管理状況を確認する。
 ②の具体的施策には補助制度の周知のほか、維持修繕・再生に向けた支援制度の検討を掲げる。支援制度は、老朽化したマンションが建替えや改修などの検討する際、事前調査や合意形成に必要な費用を助成することなどを柱に今後検討する。既存マンションの省エネルギー対策に向け、ZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)の普及にも取り組む。③の具体的施策では、防災力の向上やコミュニティ形成に向けた取り組みの促進や啓発を盛り込んだ。
 達成目標では、①は年1回の総会開催や管理規約の作成、管理費・修繕積立金の区分経理、管理組合専用ポストの設置を挙げる。2021年度に実施した実態調査ではいずれも実施率は9割を超えていたが、2025年度までにポストの設置は95%、他項目は現状値以上に引き上げる。
 ②は実態調査で95%の実施を達成しているマンションの耐震性の確保を2025年度までに「概ね確保」とするほか、長期修繕計画を策定している管理組合の割合を86・7%から90%に、25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している管理組合の割合を33・7%から52%にそれぞれ引き上げる。③は災害対策をしている管理組合の割合を実態調査の58・0%から67%に引き上げる。

 また、市独自の管理適正化指針をまとめるとともに、助言・指導等の判断基準の目安や管理計画の認定基準も独自に定めた。助言・指導等の判断基準の目安は国が示した判断基準である総会の開催や管理規約の作成、管理費・修繕積立金の区分経理などに加え「長期修繕計画を作成し、必要に応じ、その見直しを行うこと」も明記した。認定基準は、国が示した基準を踏襲しながら、「防災計画の作成や防災訓練等防災に向けた取組みを実施していること」を独自に加えた。

 2021/1/5 月刊マンションタイムズ

マンションタイムズ
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