日本不動産研究所は20年下期(7~12月)を対象とした不動産取引市場調査をまとめた。下期の取引金額は約2・3兆円で、上期の約2・5兆円に続き2兆円を超えた。取引額は16年下期を除き、13年上期以降は2兆円を上回っており、昨年はコロナ禍であっても取引量は維持されていたことが分かった。
アセット別にみると、コロナ禍の影響が大きく出たホテルや商業施設の取引が減少する一方、Eコマースの需要拡大や賃料の安定性が好まれ物流施設の取引量が大幅に増加した。コロナ以前から物流施設への投融資資金は増えていたが、その流れが一気に加速した格好だ。取引主体別にみると、Jリートの買い越しが目立ち、次いでSPC・AM会社、私募リートと続く。同研究所はJリートが一度取得すると売却するケースが限定されることから、「Jリートへの物件集約が、昨今の『モノ不足感』を生み出す構造的要因の一つになっている」と分析。コロナ禍でもこの市場構造に大きな変化はみられず、不動産取引市場を下支えしている形となっている。
外資系プレーヤーの動向については、コロナ禍でも外資系ファンドや外資系機関投資家による売買は活発で、20年上期の外資系プレーヤーによる取得額は過去2番目に多い約7600億円に達した。同年下期は約4300億円と減少したものの、「外資系プレーヤーが企業の不動産売却の受け皿の一つになっている」と同研究所は指摘している。同調査は01年から行っており、公表された取引事例を集計。約2万9000件の事例を収集し、データベース化している。(日刊不動産経済通信)
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