Brillia多摩ニュータウン団地管理組合・菊地理事長インタビュー① 建替え前の住民の姿勢を継承し新旧住民を融合
マンションタイムズ

 


 多摩ニュータウンの開発当初に分譲された諏訪二丁目住宅(640戸)を2013年に建替え、日本最大級の団地建替えの成功事例として注目を集めた「Brillia多摩ニュータウン」(7棟1252戸、以下「ブリリア」)。建替え前の住民の9割が戻ったのに加え、新たに子育て世代などが入居し、多世代で構成されるマンションとなった。建替えや長寿命化でマンションが持続的に活用されるには、新旧の住民の融合や管理組合の世代交代も必要になるが、ブリリアではどのように世代を融合させ、持続的な管理を行っているのか。30代前半にして建替え後の管理組合役員となり、副理事長・理事長を計8年務めた菊地直之氏に、この間の取組みを聞いた。


建替え後も人と人が触れ合える場所に
分譲当初からのイベントで交流促進

 私は建替え後にブリリアに入居した住民です。立候補して管理組合の理事会役員になったのは建替え後の第2期である2014年5月で、1年目から副理事長となりました。理事長に就任したのは翌年の2015年5月で、建替え前の住民から「建物を新しくしたら終わりではなく、その先の運営がうまくいってこそ、本当の成功だ」という話を聞いていましたし、以前から団地内で大切にしてきたものを継承し、それをベースに管理組合の活動を行っていくべきと感じました。私が理事長に就くに当たり、このような思いをくみ取って活動していこうと考えたのです。
 建替え前の住民は、建物を新しくしたいという夢が叶ったら、今度は建替えた後のコミュニティを良くしていきたいという夢を語るのです。子どもが大勢いてにぎやかだったころの団地を覚えておられ、若い人が入ってくるマンションを良くしたいという熱意があふれていました。建替え前から人と人とのつながりを大事にしてきたという文化を継承し、建替え後も人と人が触れ合え、安心して暮らせる街にしていこうと思いました。
そのために、まずは住民が交流できるイベントの開催を考えました。お隣、同じフロア、同じ住棟、そして同じ団地にどんな人が住んでいるのかがわかるよう、知り合いを増やせる様々な角度からの交流会を企画しました。住民同士が知り合いになるには子供が通う保育園や学校が同じといったパターンがあるでしょうが、ふつうは新しいマンションでは住み始めた後に学校などでのつながりができる順序になると思いますので、まずはマンション内のコミュニティを先に作るべきと考えたからです。
交流会は世代ごとや棟ごとの交流会など、様々な切り口から企画して開催していました。住民からは「理事会はイベントを開催するのが仕事なのか」と思われたかもしれませんが、とにかく最初が肝心だと思っていましたので、意識的にイベントの開催に力を入れてきました。当然ながら、理事会として取り組まなければならない多くの課題にも対処してきましたので、役員には相応の負担がかかっていたことも事実です。しかし、私も含め役員経験者は口を揃えて「大変だったけど、楽しく充実していた」と言います。
今となっては、初期の段階からイベントを開催してきて正解だったと感じています。イベントの企画や運営も、当初は理事や公募で選ばれた住民が中心だったところから、参加する住民が主体的に関わる形ができ、コミュニティが自然と形成されてきたと感じています。イベントに参加して生まれる交流だけでなく、イベントを企画・運営する側にも交流が生まれるのです。
 このほかにも、同じ階の住民をつなぎ、理事会のサポートなどに協力してもらう「フロア委員」を設け、1年交代で各住戸が順番に務めています。フロアだけでなくマンション全体の一体感を醸成する上でも役立っていると感じます。また、建替え前から開催してきた夏まつりや、年明けに餅つきやどんど焼きなどを行う「ふるさと祭り」という大きなイベントがあり、マンション全体で取り組んできたこともコミュニティ形成に寄与しています。
このような取組みを通じコミュニティが形成されてくると、「私も手を挙げていいんだ」「私も意見を出していいんだ」という積極的な気持ちを住民が持つようになり、通常総会や各種会議などでの意見交換もとても活発なものになりました。

Brillia多摩ニュータウン団地管理組合・菊地理事長インタビュー②へ続く

2022/5 月刊マンションタイムズ

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