適正評価制度のインセンティブ、具体化へ<br>不動産情報サイト掲載、保険料評価の基準に設定
マンションタイムズ

 マンション管理業協会が運営するマンション管理適正評価制度の評価結果が、情報開示や保険料の評価の場面で活用されるケースが具体化してきた。情報開示に関しては、東急リバブルが運営する不動産情報サイトに評価結果を表示する方針が決定。管理組合向けの火災保険については、損害保険ジャパンが管理組合向けの火災保険の契約引受時に制度の評価結果を活用することを決めた。適正評価制度の普及には制度利用によるインセンティブが必要とする意見も強いことから、こうした環境の整備が進むことは制度の定着に弾みを付けそうだ。
 東急リバブルでは、自社のホームページ内で「中古マンションライブラリー」(https://www.livable.co.jp/mansion/library/)を運営し、常時8万8000棟の分譲マンションデータを公開している。このサイト内に適正評価制度を活用した物件があれば、評価状況も掲載することを決めた。制度では最高を5つ星とする6段階評価で管理状況を表示しており、サイトでも星の数を掲載する。多くの物件を扱うサイトで評価制度の情報を公開することで、制度の認知度向上につなげるほか、管理状態を物件選定の際の選択肢にしてもらうことで管理状況を取引価格に反映させるきっかけにしていく。
 管理協では制度の評価結果を不動産ポータルサイトの物件情報に掲載できるようサイト運営会社と協議を進めている。掲載が決まったのは今回の東急リバブルが初。他サイトとも引き続き掲載に向けた活動を続ける。
 一方、損保ジャパンとは、評価制度に登録・情報公開をしているマンションについて、管理組合向けの火災保険の契約引受時に、評価結果をリスク評価に利用することを決めた。管理組合向け保険は昨年6月の損害保険料率算出機構により参考純率が改訂されたのを受け、今年10月以降に商品改訂が実施される。改定にあたり損保ジャパンでは、築25年超のマンションの契約引受時に行っていたリスク評価について、評価制度の評価結果でも判断できるようにする。評価に使われている5つのカテゴリーごとのポイントをもとに評価され、そのポイントに応じて引き受けの条件設定に活用する。評価制度の結果のみでリスク評価を可能とするため手続きの負担軽減も期待され、評価制度の利用促進にも期待が寄せられる。
 管理協では、評価制度の評価に応じた管理組合向け火災保険料の引き下げができないか損保各社などと協議を進めている。損保ジャパンとの決定はその先駆けとなった。

2022/8/5 月刊マンションタイムズ

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