クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)は、世界の主要都市・地域におけるデータセンター(DC)市場の優位性を独自基準でランク付けし、結果を公表した。最大市場である米国バージニア州北部が3年連続で世界の首位になり、次点は米シリコンバレーとシンガポールが並んだ。アジア太平洋(APAC)地域のトップはシンガポールで、次点以下は香港、シドニー、ソウル、東京、大阪などの順だった。
DCの市場環境を物件数や政府補助の充実度、電力コストの高低、ネットワークの接続環境などといった複数の評価基準でランク付けした。世界の都市・地域別では10位圏内に米国の都市が8つも入り、米国市場の圧倒的な強さが浮かんだ。具体的にはバージニア州北部とシリコンバレーのほか、シカゴとアトランタ(4位)、フェニックス(7位)、ダラス(9位)、シアトルとポートランド(10位)が選ばれた。
APACではシンガポールの優位性が際立った。同国では環境負荷への懸念などからDCの新設に規制がかけられているが、優れたネットワーク環境や安定した施設需要などが施設の開発と運営にプラスに働くと評価された。APACで3位のシドニー、同4位のソウル、5位の東京は開発・運営にコストがかかる点がデメリットだが、用地取得や電力確保などの面でさらなる市場拡大が期待できるという。
日本国内のDCは大部分が関東と関西に集積し、自然災害などのリスクを下げる観点から地方分散が課題だ。政府は地方公共団体に建設を促そうと、候補地調査の予算措置を検討。こうした政府の動きもあり複数の不動産会社がDC市場に注目している。