不動産流通経営協会(FRK)は、20年度の「不動産流通業に関する消費者動向調査」をまとめた。既存住宅購入時に、不動産会社による建物保証や「既存住宅売買かし保険」の利用に付随する検査、民間のホームインスペクションなど、何らかの建物検査を受けた人の割合は47・7%だった。前年より1・7㌽増加し、調査開始の14年以降で過去最高となった。既存戸建てでは、2・9㌽増の65・5%で過去最高、既存マンションでは0・6㌽増の40・4%と、建物検査に対する意識が年々高まってきているのが分かった。
調査は首都圏1都3県で19年度中に購入住宅の引き渡しを受けた人を対象に7、8月に実施したため、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は軽微と思われる。回答数は1188件(新築住宅購入者343件、既存住宅購入者845件)。既存住宅購入者における不動産会社による住宅保証の利用率は53・0%で、うち建物保証の利用は37・4%だった。既存戸建て購入者でみると51・4%と多く、既存マンション購入者では31・6%だった。
今後の住宅購入でのIT重説の利用意向は49・7%で、年齢が若いほど利用意向が高かった。重説書類の電子交付については利用意向が83・9%と高かった一方、売買契約締結での電子署名の利用意向は53・2%と半数超だった。利用しないと思う理由では、IT重説と同様に「住宅購入に関わる大事なことなので」が多かった。環境面から見た購入理由では「駅に近いところに住みたかった」の割合が最も高く、購入者全体で49・9%となった。FRKでは、「コロナの影響があるとすれば、次年度調査で出てくる」とみる。
2020/12/02 日刊不動産経済通信