熊本市がまとめたマンション管理適正化推進計画(素案)は、基本方針には▽実態の把握、▽管理運営の対する意識の向上、▽管理適正化の促進の3つを掲げ、方針ごとに施策の方向性を掲げた。市が関係する専門家とのネットワークを構築し、管理組合を支援する団体の設立や実態調査の詳細な分析などに生かす方針を柱に据えている。計画期間は4月からスタートさせ、市の上位計画である住生活基本計画に合わせ2024年度までとする。
基本方針ごとの施策の方向性では、実態の把握の中で▽管理組合と熊本市のネットワークの構築、▽関係団体と熊本市のネットワークの構築、▽ネットワークを活用した実態調査など―を提示。組合と市のネットワークは2019年度から構築に取り組んだ結果約8割の組合との連携がはかれており、残る2割の組合には訪問や文書での説明により構築を促す。また既存のネットワークの維持のため、管理状況に関する登録制度を設け、理事長の変更などによる連絡先の変更にも対応できるようにする。
また、専門家の知識をマンション管理に生かすのも重要とし、マンション管理分野のほか、建築や不動産、金融、福祉、税務などに関する団体と市が一堂に会する連絡会議などの場を設ける。情報共有や連携した活動ができるようにし、専門家や関係団体で構成する支援団体も設立して組合の相談に対応していく。さらに、マンション実態調査の際にも関係団体とのネットワークを生かすこととし、より詳細な実態把握や支援が必要とみられるマンションへのより詳細な支援の実施、専門家の視点を生かした調査結果の分析などに取り組む。
管理運営に対する意識の向上に向けた施策の方向性では、管理への意識を高める方向と管理状況に応じた方向で啓発活動を実施。管理への意識向上のひとつとして、関係団体とのネットワークを生かし、購入予定者への啓発を強化する。また、築年数や入居者の構成などの状況に合わせ、セミナーの開催や動画開催などによる啓発も行う。管理適正化の促進に向けた施策の方向性には、▽相談体制の充実、▽管理状況に合わせた効果的な支援、▽認定制度を活用した管理適正化の促進―を掲げた。このうち認定制度を活用した管理適正化の促進では、既存マンションへの管理計画認定制度の周知のほか、購入予定者や不動産業者に対する認定制度の周知により管理状況が市場価値を向上させる流れをつくる。組合が管理計画を作成する際の支援として、専門家による留意事項を説明した動画配信などに取り組む。
市独自の管理適正化指針では管理計画認定基準や助言・指導等の判断基準を示し、ともに国が示した基準を踏襲した。指針では長期修繕計画の作成・見直しについて、国の長期修繕計画作成ガイドラインを参考にしながら、専門家の意見を求めるとともにあらかじめ建物診断を行って適切な計画にする点、計画の実効性確保のため修繕内容や資金計画を区分所有者に周知する点を管理組合に求めている。
2022/1/5 月刊マンションタイムズ