(提供:日刊不動産経済通信) 野村不動産は東京都心で富裕層らに照準を合わせた高価格帯マンションの開発と販売を増やす。中古の高額マンションを扱う専門店を昨春から都心に出店しているが、新築部門でも平均坪単価1000万円級のハイグレード物件を拡充する。4月に専門部署を作り需要把握などを進めてきたが、その成果を反映させた都心の物件を来年以降に売り出す予定だという。
高価格帯の新築マンションの開発・販売にテコ入れする方針は、11月30日に開いた報道関係者向けの事業説明会で中村治彦・取締役専務執行役員住宅事業本部長が明らかにした。資材高や土地高などもあり都心の物件価格が高止まりするなか、購入余力が好不況に左右されにくい富裕層らの需要を開拓する考えだ。
中村専務の説明によると、首都圏でマンションの価格が高止まりしているが、同社のマンションを買う顧客の予算も上昇している。特に1億円以上を払える顧客が増えており、その平均年齢も46・6歳と若年化している。コロナ禍で一時的に鈍っていた都心回帰志向も再び強まり、都心3区とその周辺区の新築マンションを買い求める需要が急速に衰えることはないと分析している。 グループ会社の野村不動産ソリューションズが昨年4月、都心の高額物件に特化した新ブランド「レアリア(REALIA)」を立ち上げ、東京の麻布に新店舗を出した。港区や渋谷区、千代田区などを中心に、居住用だけでなく投資用、相続対策など多様な客層をとらえている。中古と新築の垣根を越えた相互送客を通じ、顧客のすそ野を広げることを検討している。