―賃料は17カ月連続で下降、借り手優位に
三鬼商事が13日に公表した昨年12月末時点のオフィスビル需給動向によると、東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の平均空室率は前月比0・02㌽減の6・33%と2カ月連続でやや低下した。昨年6月以降、7カ月連続で6%台前半の高位だが、12月は中小規模の床需要が強まったことで空室が消化された。他都市の空室率は、大阪は0・03㌽増の4・53%、名古屋は0・02㌽減の5・64%、福岡は0・18㌽減の4・53%といずれも横ばいに近い動きになった。
東京都心の坪当たりの月額賃料は90円減の2万596円と、20年8月以降、17カ月連続で下がり続けている。空室率の上昇には歯止めがかかったものの、コロナ禍でどちらかと言えば借り手に分がある情勢だ。
都心では新築と既存のビルで空室率に2倍以上のギャップがある。12月の新旧別空室率は、新築が0・63㌽増の13・09%、既存が0・03㌽減の6・25%とその差は6・84㌽にもなる。昨年3月に新築の空室率が既存を上回り、その後9カ月間、両者の差が開き続けている。竣工時点で空きが残るビルが出てきている一方、既存ビルには館内増床などの需要が強いという。ただ、新旧別の賃料は新築が220円増の2万8730円、既存が100円減の2万514円と、既存ビルの賃料は1年以上、下がり続けている。
区ごとの空室率は、港区が0・02㌽増の8・56%と7カ月連続で8%を上回った。次点以降は新宿区が0・09㌽減の6・04%、中央区が0・2㌽増の5・94%、渋谷区が0・1㌽増の5・51%、千代田区が0・2㌽減の4・58%。賃料は最も高いのが千代田区で2万2170円、低いのが中央区で1万8647円。(日刊不動産経済通信)