トップインタビュー・岡田東急不動産社長 再生エネを主力事業の1つに、テナント供給も ―再開発の戦略エリアは広域渋谷圏と湾岸 

東急不動産は、再生可能エネルギー事業をオフィスなどの「都市事業」「住宅事業」、リゾートなどの「ウェルネス事業」に次ぐ主力事業に成長させる方針だ。旗振り役となった岡田正志社長にその背景に加え、オフィスや住宅など各事業の展望も聞いた。

 ―再エネ事業に力を入れている背景は。
 岡田氏 14年から開始し、現在では太陽光発電所や陸上風力発電を中心に建設中を含め全国55カ所を展開している。合計定格容量は1143㎿で、原子力発電所1基分を超える規模にまでなった。ようやく花が開いてきた。始めた理由は脱炭素化やエネルギーの自給など社会的な意義があったほか、不動産会社として培った開発力が生かせる事業だと判断したため。リスクとリターンの面では不動産事業は景気の波の影響を大きく受けるが、再エネ事業は20年間の固定価格買い取り制度(FIT)によって事業の見通しが立ちやすく、会社の経営基盤をさらに強化できると考えた。


 ―今後の方針は。
 岡田氏 当初は売却して資金を回転させていくイメージを持っていたが、現在ではビルや商業施設、物流施設よりも利回りが高く、収益も安定しているため、主な開発物件は保有し、一部は売却していく。洋上風力にも注力していきたい。再生可能エネルギーは既に基幹事業になりつつあるが、近い将来には都市事業や住宅事業などに次ぐ主力事業に成長させたい。


 ―不動産業界ではテナントへの再エネ供給が進んでいる。
 岡田氏 実際に発電所を持っているのは大きな強みだと自負している。今年4月から既に17施設で使用する電力を再エネに切り替えたが、自社発電のため、コストアップはなく従来通りの電気代で済む。25年にはすべての施設で再エネに切り替え、「RE100」を達成する。これは国内企業でもかなり早いのではないか。


 ―他の主力事業の展望について。
 岡田氏 オフィス市場がそれほど縮小するとは思っていない。ただ、オフィスのあり方は変わる。コミュニケーションを取ったり、議論したりする場としての機能がより重視されている。オフィスの入居や退去、拡張や縮小をもう少しフレキシブルにするようになるかもしれない。今は人間関係のベースがあるから、リモートワークも上手く回っているが、オンラインだけでは忠誠心や愛着が醸成されるとは思えない。開発においても、単純なオフィスビルの開発から、エリア全体を再開発していく方向に大きく動くのではないか。当社としては広域渋谷圏に力を注ぎ、第二の戦略エリアとして新橋から品川周辺の湾岸エリアに注目している。


 ―住宅事業はどうか。
 岡田氏 住宅事業は首都圏の分譲マンションの売れ行きが思いのほか堅調だ。住宅の再開発事業も軌道に乗ってきて、25年度以降は再開発案件が新規供給のベースとなってくる。ただ、再開発によって新しく安全な街になっても、面白味が欠けてどこも同じような街になったら意味がない。それぞれの街の個性をうまく作り込んでいくことがデベロッパーの腕の見せ所だろう。今取り組んでいる東京・渋谷の桜丘地区の再開発でも街の記憶を受け継いでいくような街づくりを目指している。


 ―東急不動産の将来像をどう描く。
 岡田氏 他社と同じことをやっていても生き残れない。他にない事業の厚みを増していく。その一つが再エネ事業であり、会員制リゾートホテルの東急ハーベストクラブ事業もある。コロナによってリゾートのあり方も大きく変わった。今までは非日常を体験する場だったが、ワーケーションなど日常的な使い方もされ始めた。リゾートの価値が大きく高まり、軽井沢の地価などは上昇している。今後は、単体の事業ではなく、リゾートを中心とした街づくりのようなことにも取り組んでいきたい。(日刊不動産経済通信)

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