札幌が20年代に市街地の都市機能を更新―新たなオフィスは道外企業誘致の好機に
札幌市内(伊藤記者撮影 )

 札幌市中心部の南北の起点となる大通公園から半径1kmほど、すすきの駅から札幌駅の周辺で再開発計画が続々と進行している。札幌市は1970年代に札幌オリンピックなどを契機として整備された都市インフラが更新期を迎えており、2030年度の新幹線の札幌延伸を見据えた新しいまちづくりで、ビジネス・観光の両面から経済を活性化していく。
 三幸エステートの滝口恵貴・札幌支店長は、再開発事業による供給が続く20年代はオフィス市況について、「不足していた高機能オフィスが供給されることで、全国規模の企業を札幌に呼び込む好機だ」と捉える。札幌駅南口では、78年に開業した商業施設「札幌エスタ」として地元から親しまれている街区と、創成川通に面した東側の隣接街区に跨る「(仮称)札幌駅交流拠点北5西1・西2地区市街地再開発事業」が本格始動した。札幌市と北海道旅客鉄道らが北海道最大となる地上46階地下4階建て高さ約250m、延床面積約39万5000㎡の建物を開発。低層階をにぎわい・交流機能を強化したバスターミナルと商業施設、中層階に道外から本社機能を誘導する高機能オフィス、上層階は国際水準のホテルを導入する。本体工事着工は23年秋、開業予定は29年秋だが前倒しも検討している。
 北5西1・西2地区から斜め向かいの西武百貨店札幌店跡地では、ヨドバシカメラが代表の「(仮称)札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業」が進められている。地上35階地下6階建て高さ約200m、延床面積約21万㎡にオフィス、商業施設、ホテルなどを整備し、30年度までに開業を予定。2つの大規模複合施設を始め再開発施設が続々と開業し、「20年代終盤は、札幌市の中心部にかつてない大きな規模で新しいオフィスが供給される」(滝口氏)見通しだ。
 札幌市のオフィス市況は、三幸エステートによれば10月末時点の空室率3・11%と主要都市で最も低い。1フロア200坪以上の大規模ビルに至っては空室率1・8%といずれも19年秋頃と同等の水準で堅調だ。コロナ前は坪1万円未満だった募集賃料は、10月末時点では5カ月連続で上昇中で、坪1万399円とこの10年で最も高い。札幌のオフィス市況を滝口氏は、「他の地方主要都市に比べて中心部のビルの建て替えが遅れていて、優良なオフィスが不足していた。コールセンターなど好調な業種の拠点拡張や、道外の全国的な企業の拠点に、再開発による新しい施設のオフィスが期待されている」と分析。今後は、第一生命保険のオフィスの建て替え計画「D-LIFEPLACE 札幌」が23年に竣工予定など、同年の札幌エリアのオフィス床の供給量は1万坪を超える。「24年も北海道放送跡地の再開発など大型のオフィスが開業し、1万坪超の供給があるとみている。市況を崩さず無理なく床が埋まるか注視していく」(滝口氏)としている。
 観光ニーズが高く、コンパクトシティを目指す札幌は、街のにぎわいを呼ぶ施設や住宅の再開発も進んでいる。三菱地所が大通公園沿いに国内初の高層ハイブリッド木造ホテルを10月に開業したほか、すすきの駅のススキノラフィラ跡地で東急不動産らが複合商業を23年に竣工させる。狸小路3丁目地区では、低層階に水族館が入る大京の再開発マンションが「憧れの土地として道外からのセカンド需要に加え、ピン立地で道内からも想定以上に高評価」(担当者)と事前案内会は好調だ。札幌駅北口でも大和ハウス工業らが48階建ての札幌最高層のマンションなど複合施設を24年に竣工させる。地域を代表する企業のJR北海道も、中央区桑園の社宅跡地などで再開発を検討している。(日刊不動産経済通信)

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