トップインタビュー マンション管理の未来 55 野村不動産パートナーズ社長 福田 明弘氏(下)  

トップインタビュー マンション管理の未来 55 野村不動産パートナーズ社長福田 明弘氏(上)より続く

――国のマンション管理計画認定制度やマンション管理業協会のマンション管理評価制度が来年4月からスタートする。
 福田氏 マンション管理の情報を公開した場合の管理組合に対するインセンティブが現時点で明確に伝えられていない。管理組合に対して説明する場合にメリットとして弱い面がある。来年4月から制度がスタートするにも関わらず、明確なインセンティブが示されていないところに歯がゆさは感じている。
 国が進める管理計画認定制度は、項目がクリアされているか否かで評価され、クリアできていないものが一つでもあれば認定は受けられない。例えば、30年の長期修繕計画を作成し、その中に2回大規模修繕工事を組み入れる必要があるわけだが、どこまでの精度の長期修繕計画を作成していればクリアしたことになるのか、そういった点が不明確だ。当社の場合で言うと、精度の高い長期修繕計画を作成しているので心配はしていないが、野村不動産が分譲していないマンションで図面がない場合は長期修繕計画が作成できているのか不安があるので、管理マンションへの調査や提案を進めている。マンションは建物の階数、機械式駐車場の有無等によって長期修繕計画の内容、修繕積立金が変わってくるので、マンションの特徴ごとに内容や金額は異なるものだということが一般に理解されることが望まれる。

評価制度の浸透で
        居住者の考え方が一変する可能性も

―今後の管理業界の見通しについて。
 福田氏 マンションの評価制度が浸透したら、居住者や管理組合の考え方が一変するのではないかと考えている。既存マンションの流通においても、管理計画認定が取れているかどうか、評価はどのレベルなのかが購入の動機付けになると、管理を巡る状況は一変する可能性がある。「費用をかけてもいいから良い評価を取ろう」という管理組合の気運が高まり、マンション管理に従事する我々に対する関係も変わってくるのではないだろうか。
 管理費が安い管理会社が良いという単純なことではなく、リーズナブルにマンションの評価を高めることができる管理会社が選ばれるようになるのかもしれない。都心部ではマンションは居住形態の重要な一部を担っており、ストック数も増えている。マンションの管理を気にして購入する消費者が増えれば、適切な管理を継続することが管理会社の使命というところまで踏み込んでいける。管理会社の社員はプライドを持ってその意義を確認することで、仕事に対する意識が向上し、管理会社全体としての士気が高まることを目指していきたい。自社・他社を問わずマンション管理が見える化することに意味があり、流通にも好影響を与えると思う。

―政策要望は。
 福田氏 管理計画認定制度をクリアしたマンションへの明確なインセンティブを与えてほしいということはかねがね強く要望しているところである。また、マンション建替え法の改正で建替え要件が緩和され、方向性は正しいと思うが、建替えの手前には大規模修繕工事がある。たとえば大規模修繕工事で給排水管の更新工事を行う場合の補助金制度などを作ってほしい。国土交通省が支援する「マンションストック長寿命化等モデル事業」はあるものの、単年単発の事業で毎年提案が必要になる。より使いやすい制度が求められると思う。
 マンション管理適正評価制度はとりあえずスタートしてみて、改善すべきところは改善していけばいいという気運になっているようだ。まずはスタートを切って、マンション管理が評価されるあり方を浸透させていき、管理の見える化が当たり前になっていく状況を作っていくことが重要だ。

##福田 明弘氏(ふくだ あきひろ)氏
1959年5月13日生まれ。東京都出身。慶應義塾大学経済学部卒。1984年4月野村不動産株式会社入社。住宅カンパニー戸建事業部長、常務執行役員住宅カンパニー大阪支店長嘱託などを経て、2016年4月取締役兼専務執行役員開発企画本部長、野村不動産ホールディングス株式会社執行役員開発企画担当。2018年4月 野村不動産パートナーズ株式会社代表取締役社長兼社長執行役員(現職)、野村不動産アメニティサービス株式会社取締役(現職)。2019年4月野村不動産ホールディングス株式会社 執行役員 運営管理部門長(現職)、野村不動産熱供給株式会社代表取締役社長(現職)、NFパワーサービス株式会社 取締役副社長(現職)

2021/12/5 月刊マンションタイムズ

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