マンション管理業協会は、2022年度のマンション管理トレンド調査の結果を公表した。今回の調査では管理計画認定制度と適正評価制度への対応状況を会員会社にヒアリングし、適正評価制度は4割の会員社が管理物件に説明しているのに対し、認定制度は管理物件に説明した会員社が2割となった。半数近くは認定制度の実施主体である地方自治体の動向をみながら提案していく姿勢を示している。
適正評価制度への対応について会員会社に調査したところ、41%に当たる137社が管理物件に制度の説明を実施したと回答。制度が6段階の等級評価を行っていることを踏まえ、「低評価項目のあった管理物件に改善提案を実施している」と回答した会員会社が13%(44社)、「年間計画を建てて管理物件に提案を実施」とする会員社が20%(67社)あったほか、「その他」の回答で「高評価が得られる物件をターゲットに順次対象を広げて提案する予定」「管理計画認定制度に自治体が対応するのに合わせ、評価制度も説明の機会を設ける」など、状況に応じて対応していく姿勢をみせる会員社も目立った。一方、25%(85社)の会員社は「特に提案予定はない」とし、その理由として「管理計画認定制度の動向がわからないため」が54社、「インセンティブが不明のため」が27社と続いた。
評価制度に関する自由回答による意見を募ったところ「ひとりの評価者が対応できる管理組合の数が30組合までに限定され、専門部署で一元的に対応できない」「現場フロントが通常業務と評価業務を兼務するため、全社で一斉に提案を推進すると業務不可が大きすぎる」など、管理会社の負担増に懸念を寄せる意見などが挙げられている。また、長期修繕計画を標準様式に準拠させるための作業や総会承認の手続きへの負担感を訴える意見もあった。
管理計画認定制度への対応に関する調査では、55%に当たる183社が「管理物件所在の地方公共団体の施行に合わせて提案予定」と回答した。「管理物件に国の認定基準について説明を実施済み」との回答は18%(60社)。「特に検討していない」は24%(82社)で、その理由は「地方公共団体の動向がわからない」が51社と状況を踏まえた対応を行う会員社が目立つ。一方で「長期修繕計画の作成が困難なため」(17社)、「修繕積立金の基準が高いため」(13社)、「管理計画認定制度が取れそうにないため」(19社)といった制度へのハードルを感じている会員社も一定数みられた。
このほか、最新版の標準管理規約の反映状況に関する調査では77%(256社)が「最新版への改定を提案」「標準規約の改定を報告し、要望あれば改定をサポート」と、最新版の報告や改定への提案を行っている姿勢が目立った。IT活用の状況に関する調査では、最も導入が多かったのが「WEB会議システムの導入」で62%(209社)、次いで「テレワーク」が52%(176社)、「管理組合収納口座の出納にネットバンキング利用」が38%(127社)、「ITを活用した理事会」が35%(117社)となった。検討中の技術で多かったのは「5項書面(月次報告書)の電磁的交付」が37%(126社)、「管理組合口座の通帳レス」が30%(100社)、「ITを活用した理事会」「現場現金の完全キャッシュレス化」がともに29%(99社)、「重要事項調査報告書のオンライン化」が28%(96社)などとなっている。
調査は4月から5月にかけて実施。全会員355社中、333社から回答があった。
2022/8/5 月刊マンションタイムズ